銀魂 攘夷
□隣の席の高杉くん
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「ん...ふぁあ、」
よく寝た、とゆきはゆっくり布団から体を起こす。身体の節にはまだ不快感がある。まだ熱がありそうだと、ぼんやり考えた。
襖がスルスルと開き、向こうの眩しさに目を細めた。
「起きてたのか」
「ちょうど、いま...」
「熱あんのか」
「多分...関節がぞわぞわするから、また上がりそう」
そうかと軽く返事をし、高杉はゆきの隣に腰掛けた。ぶっきらぼうにお盆を突き出す。お粥と渉狩汗、2本のヤクルトがだった。
「食欲あるか」
「うん。ありがと...」
「ヅラからだ」
「で、ヤクルトは晋助からね?」
ゆきは、ゆっくりとヤクルトを手に取る。よっぽど身体が怠いのか、アルミ蓋を剥がすのもおぼつかない。
「ああ、これじゃ凶だ」
汗ばんだ前髪に疲れた顔でへらりと笑った。
その手元を見れば、蓋が半分くらい残っている。
そしてゆきの手のものと、自分のとを取り替えた。
「これで大吉だろ」
「え、いいの」
「いいも何も、んなことに俺ァ執着してねーよ」
小馬鹿にしてるでしょ、とゆきがむくれてみせる。
高杉は立ち上がり、食べて養生するよう言い残す。
「...大吉なら夕方には治るだろ」
「ありがと、」
赤くなった頬を慌てて隠すように、襖は閉まっていった。