銀魂 攘夷
□あの子の隣
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翌日のおやつどき。
甘い餡子と桜の葉の匂いを期待して台所を除けば、机いっぱいに桜餅が並んでいた。
「桜餅も満開ってか。作りすぎじゃねーの、え、まさかこれ全部俺が食べていーの」
「んな訳ねーだろ」
問えば、不機嫌そうな声。高杉とヅラが、ゆきと並んで桜の葉を巻いていた。
「ぷぷ、またお前ら手伝わされてやんの」
「好き好んでやってんじゃねーよ...」
「晋助ね、そつがなくて上手なんだよ、ね。そこ2列目全部。きれいでしょ」
「...」
照れてやがる。2列目じゃないとこからひとつつまみ、口に放り込む。やっぱりもっと甘いのがいいな...
「銀時、勝手に食べるな。みんなで揃ってから食べるんだぞ」
「そうそう、それは甘さ控えめなの。今日来るっていうみんなの分。銀時のはこっち」
「マジでか」
皿に山盛りになった甘さマシマシの桜餅を口に放り込む。糖分が体に染み渡っていい感じだ。
「まったく、ゆきは銀時を甘やかしすぎだ、砂糖だけに」
「うまくねーよ」
「え、そんなあ」
「いや、これは美味い」
「やったね、晋助がこの餡子仕込んだの」
「てめー高杉ぃこれ餡子に鼻くそ入ってんじゃねーか店員さーんちょっとこれ作り直してもらえますぅ」
ゆきはつまみ食いをしながら可笑しそうに肩を揺らす。確信犯か、言うようになったじゃねーの。
そうこうしていると、外が騒がしくなった。
アジトに他の仲間たちが到着したようだ。寺の戸を開け、4人で勢を迎え入れた。