銀魂 攘夷
□じゃない桂だ
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「美味しかった。ごちそうさま」
「ありがとう、桂さん」
結局ヅラは桂になった。やっぱり小太郎って呼んでと後でぼそぼそ言ったので、皆で小太郎と呼んでみたのだが、長年の癖というのは治らないらしい。
ゆきも、もうヅラくんでいいじゃん、と早々に諦めた。それも、ヅラくんじゃない、とお決まりの台詞で却下となったが。
ゆきはみんなの食器を集め、炊事場へ下げに行く。
5人の真ん中に山盛りに置かれていたぼた餅は、ほとんどが俺の腹の中にあった。
「あー腹いっぱい」
「銀時は食べ過ぎだな、あんまり甘いものばかり食べてると腑抜けてしまうぞ」
「あん?疲れた体に糖分、常識だろ」
「適量ってものがあるだろう。まあ、ゆきが来て飯が美味くなった分、これから此処のアジトに来る仲間たちの疲れも取れるだろうな」
「おいおい、いつまで居させるつもりだよ」
「そんなにすぐに帰れるもんでもなかろう」
俺たちの会話を聞いていた辰馬が口を開く。
「今日、町へ出かけた時にいろいろ調べてまわっちょったな。店に入っては、貿易商との関わりや仕入れ先を聞いとったが...」
「手掛かりはなしか」
「無いこたぁない。地球を飛び出るわけじゃあないし、舟がつく町先々で乗り次いでいきゃあ行けるじゃろう」
「乗り継ぐほど遠くから連れてこらてたのアイツ。女衒もご苦労なこった」
「そこまで遠くないが、陸路よりは舟路のほうが速いし、荷物のついでにのっとけばいい。親の迎えも難しいじゃろうて、それに」
「安全な方法をもっと探りてぇんだろ」
分かったような口を聞く高杉に、辰馬が頷く。だからもう暫く置かせてやろうとその場はまとまった。