銀魂
□いつもを変えたいときもある
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静かに皆の背中を見送った後、山崎さんが口を開く。
「はは、成人してしばらくたってるのにね。あっ、えーと、大人の女性にはそれなりの、子供扱いが...あれ、どういえば失礼じゃなくなるかな?」
「...っふふ。フォロ方さんには程遠いですね」
「はは、そうだな」
2人でようやく笑えた。私はやっと山崎さんの方を見ることができた。
体の緊張が解けると同時に、右手を掴んでいる熱に気がつく。するりと抜けようと思うも、ぎゅうっと力が入れられて叶わなかった。
「あの、山崎さん。ごめ「ストップ」
「...謝んないで、君は悪くない。俺のミスだからさ、ホント。カッコ悪いよなァ、君に責任感持たせちゃってさ。詰めが甘かったよ、本当はばしっと仕事終えてさ、ただいまって胸張って言いたかったんだよ」
山崎さんは続けた。
「次はそうしたいんだ。頑張るよ、俺。だから、またあんぱん作ってもらえると嬉しい」
「うん」
「ソーセージは、その、チーカマも美味かった」
「...うん」
「...」
「ソーセージもチーカマもなかったら、次はチータラにします。気をつけてくださいね」
「...はは、酒のつまみの話かな」
山崎さんは笑って、続けた。
「だから大丈夫だよ。何が大丈夫か分かんないけど、なんていうか前と変わらずさ、
...いや、前と同じゃ嫌だなあ...」
そうしてすこしぼんやりした感じで、私の顔を見る。
「俺、ゆきちゃんのこと好きだよ」
右手を引かれ、左肩に手が添えられた。
山崎さんの顔が少し傾いて、彼の吐息を顔で感じる。
そして、病室が爆風に包まれた。