銀魂
□コイゴコロ
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「なァトシよ、局中法度に二十歳前にムラムラしたら切腹って入れるのはどうだ?」
「だからハタチ前からムラムラしてただろアンタ。腹切るのか」
「そういうコイツもムラムラしてますぜ気をつけてくだせェよ、ゆきさん」
「総悟、そんなこと言わないの!おかーさんは許しませんよ、ねェゆきちゃん?!」
「すいまっせーん、コーラとオレンジジュース追加」
「えええ俺助けてあげたのに酷ェ仕打ち」
「その節は大変助かりました」
近藤さんに深々と頭を下げる。沖田さんはオメーは役立たずだったけどな、と土方さんに悪態をついてる。
現状をいうと、2人で鉄板前のカウンターで焼きたてを...の予定が、近藤さんと土方さんが、2人じゃ行かせられないからと4人でテーブル席でガヤガヤやっている。
「ほんと、身体張って歳上からかうなんていい度胸してんだから」
「あり、ゆきさん怒ってます?」
「激・怒」
「あらら、参っちまったなー。ドSは打たれ弱いんで許してくだせェ」
「しらなーい。あんな事簡単にできちゃうんなら沖田さんホストになっちゃえばいいのに。はい、コーラ。」
「どーも。ホストですか、馬鹿な雌豚騙くらかすのも悪かねーんですがね。それよりアレ、俺ァ本気ですぜ」
「...本気の相手にあんな辱め有り得ない」
「相手を辱めるのは俺の最大の愛情表現でさァ」
「なにそれきもちわるい。」
「...」
机に肘をつき、うなだれる沖田さん。あ、ほんとに打たれ弱いんだ...
「打たれてんな。オラ総悟、コーラ飲んどけ」
「マヨネーズついたコーラなんかいるか死ね土方」
「んだとコラ」
「まあまあ落ち着け!2人とも!愛情表現は真っ直ぐストレートが鉄則だ。小癪なマネしても女は振り向かせられねぇぞ、な!ゆきちゃん!」
「ソウデスネ」
“なんかゆきちゃん冷たくね?”と今度は近藤さんがうなだれてしまった。んー、いいこと言ってるんだけど説得力が無いんだよなあ。
土方さんがフォロ方さんになってる間に、店員さんにこっそり、用事を伝える。
しばらくして、フッと店の照明が落ちた。
店が少し騒つくなか、暗闇からふっとロウソクの灯りが現れ、バースデーソングが流れる。
「なんですかィ、これ」
「遅くなっちゃったけど、お誕生日おめでとう。やっぱり誕生日にはロウソクふーってしなきゃね」
「おめでとう、総悟!」
「おめでとう」
周りの見知らぬ人たちからも拍手を貰った。
ガキじゃねーんだから、と照れ臭そうに息を吹きかけ、火を消す。
再び暗闇が来る中で、少しだけ見えた嬉しそうな顔。
近藤さんも土方さんにも見えたようで、明かりが戻った時にはみんなの顔はとてもにこやかだった。
「なんでィ、皆ニヤついて気持ち悪ィ」
「ふふ、あと1回ロウソクの火消したら、また2人で飲みにきましょうね」
「店員さーんもっかい火つけてくだせェ」
いやそうじゃねーだろ!と3人がツッコミを入れると、
“そうでもしねーとサザエさん方式で歳とれねーんでさァ”
と、頬を膨らませる沖田さんなのだった。