銀魂
□イタズラゴコロ
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滑り込みセーーーッ
「アウト!」
「くッ....ごめんなさい」
待ち合わなかったか...チラリと時計を見る。
「セーフじゃん」
「ごめんごめん。言ってみたかったの。いつも言われる側だもん」
「あはは、なんだそりゃ。おはよ、蓮ちゃん」
「おはよ」
こうしていつも通り、朝の支度が始まった。ただ違うのは、汗だくだということ。蓮ちゃんが私より早く厨房に入っていたということ。
「今日、早かったんだね。もうお浸しができてる」
「うん。ここで働くなら、料理も頑張んなきゃって思って」
「...あー、傘持ってないや」
「雨が降るって?もう!失礼なんだから」
「へへ、ん、これいい感じ。お出汁よく取れてるよ」
よかった〜、と今度は卵焼きの支度にかかる蓮ちゃん。その隙を見て、醤油を小さじ2ほど追加しておいた。苦手なことは、褒められて伸びるものだ。
ちょうど配膳が始まった頃、隊士さんたちが続々と食堂へやってきた。あれ、いつもは配膳が終わる頃なのに...2人で慌てて配膳に入る。
「おはようお二人さん!ってアレ?飯まだなのか、今日寝坊でもしたのか?」
「原田さん、おはようございますっ!私はいつもより早いくらいですよ、みなさん今日はお早いですねっ」
「いやあ、今日は朝稽古なかったんだけどよー、な、山崎」
「そうそう、ドタバタと廊下走る奴がいたもんで目が覚めちゃったんだよ。もー誰だよ、もうちょっと寝たかったのにさ」
あ、やってしまった。もちろん犯人は私。だけど、黙っておこうっと...
「オゥゆきさん、遅刻せずに済みやしたかい。すんげー走ってたもんな。」
「廊下走ってたのお前かよ!!」
「あー、もう酷い。沖田さん酷い。みなさんごめんなさいこの通り」
パンっと額の前で手を合わせ、許しを請う。思いのほかみんなそんなに気にしてないようで、はは、なーんだと笑って行ってしまった。
「...で、沖田さん、ご飯の量どうします?」
「大盛り。のりたま追加で」
「はーい。の、前にこれ」
氷で冷やした麦茶を差し出す。沖田さんはおっ、という顔をして、一気に飲み干した。
「っあーうめェ。おかわり」
のりたまふりかけとおかわりをお盆に載せて、たくさん食べてねと声をかける。
「そーだ、ゆきさん、」
“あっ、土方さんお早うございます!マヨネーズつけておきますね”
蓮ちゃんの声で彼の存在に気がつく。
あれ、土方さん頬怪我してる。髪もちょっと焦げてる。
何かあったの。そう声をかけようにも昨日の今日で声が出ない。
“おう、さんきゅ”
「ゆきさん、」
「...あっ、はい!どうしたの沖田さん」
「...やっぱいいや。また、」
「...? はい、また。」
踵を返し、席についてガツガツとご飯を食べる彼。いつもと違う食べっぷりに驚くが、真選組最年少、あのくらいが丁度いい気がするな。
呼びとめられた理由を考えるも束の間、
忙しく配膳へと戻るのだった。