銀魂
□カフェオレ
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「俺ァなーんにも悪いことしてないんだけど。責任とってよゆきちゃん?」
ちくちくと、銀時は続ける。
「しかもグーパン?ちょっとエッチなハプニングの後には平手の痕が鉄板です。次テストするから覚えとくこと」
「もうハプニング起きないから安心して」
彼の左頬がぷっくりと腫れている。言うまでもないが、犯人は私。氷とお水の即席氷嚢を作って、その頬に当てた。
「まあ俺も殴られたくはねぇな、冷たっ、」
「ごめんね、銀さん。腫れが落ち着いたら一緒にバナナのケーキ食べましょ」
「ちょっ、そんなに近いと俺のバナナの腫れがひかないんですけど」
「帰ります」
最低。何この下ネタ男。土方さんとは大違い、少しは見習ってほしいものだ。
ケーキの包みを持って、すっくと立ち上がる。
「ごめんごめん!ごめんなさいゆきちゃん、もう言わないから帰んないでお願い!」
"俺の左頬が糖分を欲してるから"
うっ。ちくりと罪悪感が胸を刺す。絶対、確信犯だ。私はしぶしぶ、再びソファに腰掛けた。
すると銀時は、ニッと笑って、いそいそと台所に向かって言った。飲み物を用意してくれるみたい。
「イチゴ牛乳?いちごミルク?それともいちごオレ?」
「あはは、全部おんなじ」
「ばっか、微妙に違うんだよ。お前はコーヒーだっけか。」
「うん、ありがとう。ブラックがいいです」
「よく飲めるなあ、あんな苦いもん」
「書類仕事のお供にしてたら好きになっちゃった」
「...好きになったのはコーヒーのことだよな」
「コーヒーのことですよ。うん、コーヒーのこと...」
「...」
コト、とカップが置かれる。
「ありがとう。あ、あれ、カフェオレ?」
「銀さん特製、糖分たっぷりカフェオレ」
「あはは、太っちゃうよ」
「多少ぽっちゃりしてる方が抱き心地がいいってもんよ。お、ケーキうま」
「帰ります」
「おーい、せっかくの糖分飲んでってからにしてくれ」
「...美味しい」
だろ?と、片眉を上げて得意そう。
こっくりと甘いカフェオレには、少し蜂蜜が入っているらしい。
「...今後、コーヒー飲むときは砂糖と牛乳たっぷりにしなさーい」
「ラジャー」
帰り道には、蜂蜜を買いに行こう。
午前11時、ほっ、と男女の一息。