銀魂

□am
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と、思ったもののやっぱり怒られるのやだなあ。それに部屋を開けると煙草の臭いがこう、どうっと身体を覆って着物に纏わりついて離れないのだ。

ガラッ


「うわ」

急に襖が開いて副長が出てくる。
煙草の煙と怒られるのを想定して、思わず息が詰まる。


「.......」

「何突っ立ってんだ」

「ん、あれ、」


思いの外煙たさを感じなかった。むしろ爽やかなくらいだ。


「...お前呼んだらどうせ換気させられるからな」

「エスパー?」

「エスパーなら苦労しちゃいねぇよ。」


土方さんの表情も、思いの外柔らかい。エスパー?に返事してくれるなんて、ご機嫌なのかな。


「ふふ。確かに。沖田さんの脳内覗けたら扱いが楽になりそうですね」

「いや、ゆきは覗かねえほうがいいと思うが。バズーカ打つかどうか辺りは知りてェな」

「...今日もやっちゃったの...お疲れ様です」

「はあ...書類が増えてしょうがねェ」

「怒っときます、沖田さんに」

「やめろ、俺にとばっちりがくる」

「私にも とばっちりが来てるの。」


ぐ、と押し黙らせてしまった。サービス残業してるんだもの、それ位言わせてもらいますよ。


「そうそう土方さん、ご用件は?」

「...手伝いの時は作業着じゃなくて着物で来いよ」

「着物で...?」

「あァ。ちゃんと持ってるか?」

「持ってます!!もう、いつも作業着だからって。」


ニッと少しだけ悪戯ぽく笑った土方さん。
そんなやりとりをしていると、パンパンと洗濯物のシワを伸ばす音が聞こえてきた。


「やば、洗濯干し始まっちゃった。蓮ちゃん速いんだもん」

「今日の当番 蓮なのか」

「ええ。きっと明日のシャツはパリッとして気持ちいいですよ」

「...明日は非番だ」

「あら、すんごく久しぶりなんじゃ...一段と仕事はかどりそうですね。それじゃあ、私もお仕事戻ってきます」


あぁ、頑張れ。と行って送り出してくれた。
久々の非番とあれば、土方さんがご機嫌なのも頷ける。

いつも気を張り詰めて頑張っている彼が穏やかなのは私も隊士も嬉しいことだ。

箪笥の中にしまったままの小袖たちを思い浮かべながら、洗いたての洗濯物のいい匂いを辿っていった。


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