□慕情☆
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細い手首を掴まれて、引き寄せられた。
支えを失った宗次郎は土方の上に倒れ込む。
「痛いです…っ、土方さん…!」
掴まれた手首が痛い。
うわ、お酒くさい…。
距離が近づいたお陰で、土方は酔っているのだと判断した。
「たくさんお酒を飲んだのですか?」
土方は答えない。
ただ射抜くような強い眼差しで宗次郎を見ていた。
「離してください。お布団の用意をしますから」
しかし、離すどころか力は一層増すばかり。
グイッと引っ張られて、体制は逆になってしまった。
土方の肩越しに満月が皓々と柔らかな光を放っている。
「土方さ…」
名前を全部告げる事のないまま、唇を奪われ、言葉は消えてしまった。
幼い頃、風呂場で散々悪戯をされて、何度も何度も達せさせられた。
しかし、12になった宗次郎に精通が来て、それ以来恥ずかしくて一緒に風呂には入っていない。
それに、口づけをされるなんて初めてだ。
強烈な酒臭に顔を背けたくなる。
土方の舌が、宗次郎の唇をなぞる。
薄く開いた唇から舌が入り込んできた。
どうすればいいか分からない宗次郎は、ただただ戸惑うばかりで何も出来ない。
逃げる舌を追いかけ、キツく吸い上げる。
「ぅ…ん、ん…ッ」
土方の胸を叩いて抵抗するが、それを気にも止めようとしなかった。
絡まり合う舌に何だか卑猥な気分になってしまう。
体がどんどんと熱くなっていく。
息もつけなくて、頭がぼうっとしてきた。
もう何が何だかわからない。
夜着の間から手を入れられ、素肌に触れられた。
土方の大きな手が慣れた手付きで胸元をまさぐる。
当然ながらふくよかな乳房はない。
痩せた子供の薄い胸板だ。
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