□狂宴☆
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「…で、俺のとこに来た訳?」
「ご迷惑でした?」
沖田はなみなみと盃に注がれた酒を一気に飲み干した。
そして、酒瓶からまた盃に注いで飲む。
「いや、別にいいんだけどさ」
「ささ、永倉さんもいっぱい飲んでください」
……俺の酒なんだけど。
なかなか手に入らない一級品の酒だ。
押入れに隠し、隊務を終えた後に1人でちびちび飲むのが唯一の楽しみだった。
勿論、原田にも藤堂にも振る舞ってはいない。
その大切な酒は沖田に奪われ、遠慮もなしにぐいぐい飲まれている。
「総司、飲み過ぎ。そもそも酒に強くないでしょ」
「たまには飲ませてくださいよう」
……ほら、もう酔ってるし。
「それにしてもこのお酒、美味しいですねえ」
「当然でしょ、その酒を手に入れるのにどれだけ苦労したと思ってんの」
ピンッと沖田の頭を指で弾いた。
「ほら、もうおしまい。子供は早く寝なさい」
「私はもう大人ですう、子供扱いしないでくださあい」
沖田の幼い頃を知ってる為、どうも子供扱いしてしまう。
年齢はもう成人だが永倉にとって、沖田はまだ子供なのだ。
「背丈も永倉さんをとっくに超えましたよ」
「……う……」
それを言われるとぐうの音もでない。
「どの位大人になったか、証明しましょうか」
沖田が妖しい笑みを浮かべた。
それは永倉が見た事のない妖艶で艶かしい笑みだった。

どさりと音を立てて、二人は畳に倒れた。
「ちょっ、総司?!」
「これからは大人の時間ですよ、永倉さん?」
そして、唇が重なる。
制止の言葉を紡ごうと口を開けようとした途端、すかさず舌が滑り込んで来た。

困った事になった。
どうしよう。
でもまあ、これで総司の気が済むのならちょっとだけ付き合ってやるか。
こうなるとは思ってなかったけど。

沖田の頭を両手で押さえ、入り込んで来た舌に応える。
舌と舌とが絡まり合い、沖田の舌をきつく吸う。
口づけは更に深くなり、角度を変え、何度も絡ませ合う。
いつしか二人の息は上がっていた。
「…永倉さん、結構お上手ですね…」
「んー、まあ年の功ってやつ?」
また子供扱いされた気がして、沖田が膨れた。
「ほら、もう気が済んだでしょ。部屋に帰んなさい」
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