□かわいいひと。
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あなたはだれよりもかわいいひと。
かれんなえがおで
ぼくのこころをさらってゆく。


「沖田さん、薬をお持ちしま……」
障子を開けると居るハズの部屋主がいない。
ーーーやられた。
ちょっと目を離すと、すぐこれだ。
しかもこの肌寒い中、羽織りすら着ていない。
一体どこへ行ったのか。
文机の上にはご丁寧にも、『外出中』と書かれ、その横にはサイゾーらしき豚の絵が描かれている。
なかなか上手い。
……おっと、褒めている場合ではない。
早く探し出さないと、風邪をひいてしまったら大変だ。
山崎は沖田の羽織りを掴んで、部屋を出た。
ほんまにどこ行っとんねん、あの人は。

とりあえずまずは屯所内を探してみる。
先に伺うであろう副長室。
障子は閉められている。
中から話し声は聞こえてこない。
「…副長」
「どうした、山崎くん」
「沖田さんは来られませんでしたか?」
「来てねえな。あいつ、また逃げ出したのか」
「そのようです、探しに行って参ります」
土方がかくまっているとは思えない。
山崎は副長室を後にした。
次は鉄之助のいる大部屋にやっていた。
鉄之助は隊士達と碁をしているようだ。
碁盤の目には、白と黒の石が並んでいる。
「おー、ススムー!どしたー?こんな所に来て」
「沖田さんは見いひんかったか?」
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