□kiss
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キュートなキミと
隠れてたくさんキスしよう



今日は非番。
天気も快晴。
沖田はご機嫌で町を闊歩していた。
下駄も高らかに音を鳴らす。

今日はどこの甘味屋に行こうかな。
千松茶屋の豆大福もいいし、三浦屋のわらび餅もいいなー♪
そういえば、高野屋はお伊勢さんの赤福餅が売ってたなー♪
なんて考えながら、呉服屋を横切り、武具屋を素通る。
その時だった。

「オッキー!」
聞き覚えのある呑気な声。
それに、そんなふざけた名前で呼ぶ男は一人しかいない。
振り向くとやっぱりそこには、土佐藩浪士、坂本龍馬。

「龍馬さん、お久しぶりです」
「そうやのう、久しぶりやのう」
いつ見ても、ミョウチクリンな格好をしている。
何とも言えないもじゃもじゃした髪型に、色付きの眼鏡に、変な形の鳥帽子みたいな被り物。
「いつ見ても、オッキーはまっことチャーミングでキューツじゃのう」
「龍馬さんは相変わらず何言ってるかわかりませーん♡」
いつもの通りの会話を交わす。
坂本が何を言ってるかさっぱりわからないが。
ふと、坂本は沖田が隊服を着ていないのに気付いた。
「今日は物騒なもんは持ってないんかえ?」
「ええ、非番の日は帯刀しないんです。だから、残念ながら龍馬さんを捕まえる事がないんですよ」と、残念がる沖田に坂本は苦笑した。
「おまん、これから暇かえ?」
「ええ、まあ暇ですけど…」
訝しげに坂本に言う。
「だったら、わしとデートじゃ」
そう言うと、沖田の手を握り、ずんずんと歩き始めた。
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