□夜祭
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土方は飴屋でべっ甲飴を宗次郎に買い与えた。
棒に刺さったべっ甲飴を嬉しそうに小さな口でペロペロ舐めた。
今度ははぐれない様に、土方は歩幅を合わしゆっくり歩く。
本殿へ続く階段を上がり、賽銭箱の前へ来た。
袖口から財布を出し、小銭を宗次郎に渡した。
土方は小銭を賽銭箱に放り投げて、鈴を鳴らして手を合わせた。
宗次郎も真似をして、同じ動作をする。
一息もつけぬまま人集りに押され、本殿を後にした。
階段を下りたその時、ドンッと音がして空に花火が舞い上がる。
でも、宗次郎にはそれが見えない。
「髪に飴付けんじゃねえぞ」
そう言うと、宗次郎を抱えて肩車した。
「うわあ…」
色とりどりに火の粉を散らす花火に宗次郎は感嘆の声を上げる。
大きな音とともに夜空に広がる花火達。
「また来年も連れてきて欲しいです」
「ああ、そうだな」
子供は苦手だが、宗次郎なら連れて来てもいいと思った。



「あーっ、お前髪に飴付けてんじゃねえよ!!」
「ご、ごめんなさい…」





***
日野編の土宗は宝ですw
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