□秋桜
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揺れる揺れる風にたなびく秋桜
きっと綺麗なあの人に似合うから
少し摘んで笑顔で渡そう
喜んでくれるといいな 秋桜


◉ 秋 桜 ◉


【花言葉】
美麗、純潔、優美


「うわ、綺麗に咲いてんなー」
鉄之助が思わず驚嘆の声を上げる。
屯所からすぐ側の田んぼに花咲く秋桜。
桃色、赤、白。
色とりどりの可憐な花が咲いている。
「ちょっと摘んでも大丈夫だよな?」
キョロキョロと周りを伺う。
よし、誰もいない。
あの人に似合うであろう白の秋桜を数本摘んだ。
少々融通の聞かない医者が横にいるから、あの人は屯所から出してもらえないでいる。
町に出るのが好きなあの人の事だから、きっと退屈しているだろう。
まだ風邪は治らないのかな。
この花で少しは気が紛れてくれるといいけど。


「随分と風が冷たくなりましたね」
「障子を閉めましょうか」
「いいえ、開けておいてください。部屋の中からでも季節を感じたいのです」
傍らに陣取る山崎に優しい笑顔で言った。
遠くの方からバタバタバタと走ってくる音がする。
それは沖田の部屋の前で止まった。
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