Are・you・opponent?
□屯所日記。〜3日目〜
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____「ここまで来てみろよ!!____!!!」
「ま、まってよにーさま!!」
「このオレに勝てないよーじゃまだまだ子供だな!!」
「ど、どうせ子供だもん…それにワタシ女だし、にーさまに勝てる訳……」
「ほぉらまた来たよ、オマエのいじけグセ。そんでもってそろそろ泣くんだゼ?いっつもそーだよな」
「な、泣いたりなんかしないもん!そうやって、にーさまがからかうから………!!」
「言ってろよー。オマエが早く来ねぇからオレ特製デザートは無しだー!!」
「えぇぇ!!もうっ、にーさまの大嫌い!………ふえぇぇぇ」
「ホラ、やっぱし泣いた。……ったく、オマエはオレと違ってこの星でたった《一人》のオヒメサマなんだからよ、もっと強くなれよなー!オレが宇宙中のみんなに自慢できるよーなオヒメサマに、さ!!」
「ふぇ……宇宙中、ってにーさま、規模が大き過ぎっ……」
「いーんだよ!その位スケールがねぇと盛り上がんねぇの!!ホラ、オマエにもその立派な羽があんだから早く来いよ!!オレに着いて来れたらデザートの話、アリにしてもいーゼ?」
「……!うんっ、にーさま!!」
「…………………へへっ」
「どうしたの?」
「何でもねーよ。行くぞ!!」
「うんっ!!!」______
それは、とある星でのほんの些細なとある一つの日常で。
もうワタシの手には二度と届かない一つの日常でもあった。
………もう一つの日常は…。
_____「おーい京華。何やってんだ?」
「と言うかこの大量の器材は…」
「どーせまた特製デザートだかなんだかだろ?折角だし苺入れてくれよー!!」
「あ、晋助に小太郎、銀時」
「何で暇な時にいつも菓子作ってんの?」
「……大切だったヒトが、いつも作ってくれたモノだから」
「………あ…」
「(バカっ、何やってんだよ銀時!)な、なぁ京華!それ作り終わったら外行こうぜ!」
「いや、まずはその菓子を食ってからだろ」
「(だからその話に触れるな、って!)」 ドゴッ
「…?急にお腹抑えてどうしたの?銀時」
「い、いや……なんでもねぇよ(何しやがんだ高杉!!)」
「(銀時がそうやって人の傷抉ろうとするからだろ!)腹痛いんだったらそこらへんで休んどけよ」
「(誰の所為だと思って…っ!)痛くなんかねーし!?寧ろオレ健全だし!!?」
「ふーん」
「ふーん、じゃねぇよ!」
「全く、何で銀時はいつもいつも…」
「ヅラは黙ってろー!」
「ヅラじゃ無い桂だ!」
「……フフ…っ」
「あ……!京華が笑った!!」
「…可笑しかった?」
「いいや!寧ろ暗い表情でいるよりよっぽど良い!」
「高杉の言う通りだな。笑う門には福来たると言うし、過去より今を楽しむべきだ」
「お、ヅラが珍しく良い事言った」
「銀時は私を何だと思ってるんだ?あと、ヅラじゃ無い桂だ」
「……フフっ…!ありがとう、三人とも。もう直ぐ作り終えるからちょっと待ってて?みんなの分作るから」
「お!オレ京華の菓子好きなんだ♪苺ちゃんと付けろよー?」
「お前は苺ばっか……」
「うるせーな高杉。苺は正義なんだよ」
「じゃ銀時には苺入れとくね。晋助と小太郎は何がイイ?」
「ん…じゃ、オレは林檎で」
「私はそのままで良い。そのままの方が好きだ」
「うん…!分かった」
松下村塾。
松陽先生が教えていたその場所で松陽先生に拾われたワタシは晋助、小太郎、そして銀こと銀時に出会った。
昔の事を思い出して泣きそうになっても、この三人だけはいつもワタシを笑わせようとして、いつも空回りして。その思いにいつも救われていた日常。
そしてコレもまた、二度と届かない一つの日常。
今は、今のワタシの日常は……