記憶のネイロ
□貴方を見つけるプロローグ
1ページ/4ページ
「なぁ!学園出たら何する!?」
「急にどうしたの?ナイス」
あれは、いつもの幸福な日の事だった。
「僕は取り敢えずお金貯めて…仕事探して……」
ナイスの問いに真剣に考えるアート。
「相変わらず堅いな!?」
「兄さんらしくていいと思うよ?」
いつも優しくて可愛らしいスキル。
「私は…どうしようかな?」
そしてナイスの事が大好きな、私。
「お前ははオレと一緒にいんの!…な?」
こつん、とナイスの額が私に当たると私の顔は急激に熱を帯びた。
ナイスも少し赤く見える。
「…だ、だから!とにかくお前は居てくれたら良いの//…オレの、隣……で…////」
段々しぼんでいくナイスの顔に私はイタズラしたくなる。
好きだから。
「ふへっ!?お、おい!?ほっぺつねるなよー!!」
「だってナイスが照れ屋さんなんだもん!!」
仕返ししようとしてナイスが私を追いかけて、私が後ろを向いて走りながら挑発して。
だから知らなかった。
追いかけられるその先に錆び付いたフェンスがあって。
其れは丁度寿命を過ぎていた事。
知るは幸。知らぬは不幸。
「……え」
「ッ!?おいっ!おま……?!」
大きな音をたて、フェンスは私を連れて落ちて行く。
「リアーーーッ!!!」
お互いに手を伸ばし合って、まるでスローモーションの様なのに、指先一つ触れる事すら許されない。
嗚呼、間に合わない
二度と、届かない
貴方に言えないのかな
私も好きなんだって
その時最後に、私は不謹慎にもこう思った。
ー空の青色が、綺麗だなぁ。ー