記憶のネイロ

□貴方を見つけるプロローグ
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「なぁ!学園出たら何する!?」

「急にどうしたの?ナイス」

あれは、いつもの幸福な日の事だった。

「僕は取り敢えずお金貯めて…仕事探して……」

ナイスの問いに真剣に考えるアート。

「相変わらず堅いな!?」

「兄さんらしくていいと思うよ?」

いつも優しくて可愛らしいスキル。

「私は…どうしようかな?」

そしてナイスの事が大好きな、私。

「お前ははオレと一緒にいんの!…な?」

こつん、とナイスの額が私に当たると私の顔は急激に熱を帯びた。

ナイスも少し赤く見える。

「…だ、だから!とにかくお前は居てくれたら良いの//…オレの、隣……で…////」

段々しぼんでいくナイスの顔に私はイタズラしたくなる。

好きだから。

「ふへっ!?お、おい!?ほっぺつねるなよー!!」

「だってナイスが照れ屋さんなんだもん!!」

仕返ししようとしてナイスが私を追いかけて、私が後ろを向いて走りながら挑発して。

だから知らなかった。
追いかけられるその先に錆び付いたフェンスがあって。

其れは丁度寿命を過ぎていた事。


知るは幸。知らぬは不幸。

「……え」

「ッ!?おいっ!おま……?!」

大きな音をたて、フェンスは私を連れて落ちて行く。

「リアーーーッ!!!」

お互いに手を伸ばし合って、まるでスローモーションの様なのに、指先一つ触れる事すら許されない。

嗚呼、間に合わない
二度と、届かない
貴方に言えないのかな
私も好きなんだって






その時最後に、私は不謹慎にもこう思った。

ー空の青色が、綺麗だなぁ。ー
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