いつも、あなたを。
□だからこそ
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人よりかなり頑丈で、馬鹿力のオレはたまに重傷で病院沙汰になっても、運が良かった位にしか言われなかった。
それは《重傷》だったらの話だ。
もしそれが《確実に死んでる》怪我だとして、生きていたら。それこそ何かの下敷きとか。
それでも生きているという頑丈さを、相手は運が良かった、で済ませられるのか?
「絶対に済まないよ」
いつの間にか口に出ていたらしい。
「もし病院がそれだけで済ましていたとしてもそんな話、どんどん飛び火していくんだ。こんなボクを研究したいヤツなんていくらでもいるよ」
「…!」
「ホントは見せたくなかったんだけど…あぁでもしないと止めなかったでしょ?殺し合いレベルの喧嘩」
「……それは」
口ごもるしかなかった。
田奈宮が死んでまで止めなきゃ、喧嘩は止まらなかっただろう。かと言って止める気もなかったが。
「まぁ、もう済んだ事はいい事にしようじゃぁないか。結論!ボクは死なない!と言う訳で自殺名所さがす!!で」
「今までのお前の解説が意味を成してない結論になってるぞ?」
「気にしなーい気にしなーい♪」
るんるん、すっかり血の止まった全身を元気良く振り回しながら田奈宮はソファから立ち上がり歩き回る(意味はあるのか?)。
だがそこまで気にする事は無いんだろう。田奈宮はオレが思うよりもっと強くて、芯があるらしい。
「…似てるようで全然似てない、ってまさにこの通りだよな」
オレはこの力を持て余し過ぎていて、全く、どうしようもねぇ奴だって自分でも分かってる。
「え〜?何か言ったー??」
「いいや、何でもねぇよ」
「んー??」
それでも、コイツとならもっと近くに寄り添う事が出来るかも知れない。
今は、そう思えていた。