Mes Chevaliers

□第五章 偽装婚約
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密かに体を鍛える準備をしている私。ここのところ毎日、父親の部屋にあった筋トレ用具を使って、体を鍛えている。
「…うーん…重い…」
祖父の教えに従うなら、毎日鍛えるべきだったのだろうが、如何せん…女子なので。毎日筋力トレーニングに明け暮れる趣味はありませんで…そのツケが回ったのか、それとも年なのか、どうも今までほどは持ち上がらない。
「…女性がそこまで重いものを持ち上げるなんて、怪物としか思えませんね。」
「…。…ひ…聖さんっ!?」
「そこまでいければ、オリンピック日本代表も夢ではないでしょう。勿論重量挙げで。」
「…。いつからいたんですか?」
「…最初から、ですが。」
…秘密のトレーニングなんすけど!!何でいるの?何で音もなく近づいてくんの?
「秘密にしたいのなら、可笑しな声を出しながらするのをやめた方が良いと思いますが。あと、用具を床に置くときに、床が抜けそうな音を立てないように気を付けるとか。」
…不覚。全然気づいていなかった。…そら、不審に思われるよね…
「…もしかして、全員知ってる?」
「…知られていないつもりだったんですか?」
呆れたような声に曖昧に笑い返すと、聖さんがため息をついた。
「…九遠さまがおっしゃっていましたよ。『…華央梨ちゃんを開けるとオジサンが出てくるのかなぁ…』と。」
「…九遠きゅんが!そ…そそそんなことを…!…この世の終わりだ…。」
「…脳筋バカ。」
「…あ?」
「…華央梨さま。そんなことより、お食事ができております。脳き…華央梨さまとchevaliersに柊夜さまからお話があるそうです。」
「…何の話なんですか?」
「…わかりかねますが。」
「…ですよねー。あ、わかってましたよ?聖さんが知らないだろうなーってことくらい。だけどまぁ敢えて聞いてみたというか、別に…」
「…わかっていることを聞く人間は脳き…」
「もうやめてー!聞きたくないですごめんなさい!」
「…じゃあ、自分一人で立ち向かおうとか、皆に迷惑を掛けないようにしようとか余計なことを考えるのはやめてください。貴女が動くとろくな結果にならないでしょうから。」
「…だけど…」
「返事をしなさい。」
「…はい…」
「…逆らわれると、余計に苛めたくなるんですよ…」
う…。
何か恐ろしい一言が…
…聖さんに逆らうのは…なるべくやめておこ。
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