Mes Chevaliers

□第二話 幼なじみ
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家に着いて、自称執事の武田さんは、私の前にひざまずきながら(執事なので、なるべくお嬢様より体勢を低くしなければならないらしい。)、彼は話し始めた。私の家の台所を知らないはずなのに、
「お嬢様はどうぞ座っていらして下さい」
と言って、紅茶を淹れてくれながら。
何で隠し扉の向こうにあるってわかったんだろう。というか私もそこにあるの忘れていたし。
…まぁ、いいか。
すごいね、執事って。
彼は話し始めた。
「馬鹿なお嬢様にもわかるようにお話いたしましょう。まず…そうですね。私がここに来るまで何をしていたか…から。
私は、丁度10年ほど、ある富豪のお屋敷に仕えておりました。1ヶ月ほど前からずっと、私宛てにしばしば、手紙が来ていたのでございます。貴女の写真つきで『屋敷を辞めて、すぐにこの少女に執事として仕えよ。もしそうしなければ、お前を屋敷から去らざるを得ない状況に置く』という文面でした。性質の悪い悪戯だろう…と取り合ってはいなかったのですが。三日前、突然ご主人のお部屋に呼ばれまして…『もう明日から来なくて良い』と言われました。突然の解雇でしたので…随分驚きました。」
「…それで?それで…どうやって私を見つけられたんですか?」

「…すぐに屋敷を理由なく追い出された理由がわかりました。何と言ったらいいのでしょうか…『声』が聞こえたのです。その『声』は自分が力…魔法のようなものでしょうか…を使って、主人に私をやめさせるように働きかけた、と言うのです。その『声』が私を貴女の元へ導いてくれました。」

「とても…信じられるような話ではありませんよね?」

「私に聞かないでください。…信じるか信じないかは貴女次第です。遅かれ早かれ信じることになるとは思いますが。…ここからが重要なんです。…貴女は、どうやら選ばれてしまったらしい。何に…かは『声』は教えてはくれませんでした。貴女自身に直接伝える…と言って。私は…貴女を護るために選ばれた、chevaliersの一人だと。」

「私を…護る?」
「…先程申し上げましたよね、貴女は命を狙われている…と。貴女が死んだら我々も殺されるらしい。『声』はそう言っていました。だから私は貴女を護るのです。」
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