Mes Chevaliers

□第一話 出逢い
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「華央梨〜っ!オメデト〜ッ!」
「…ぎゃっ…ちょ、何?夏美。」
同期の仲良し、夏美に思いっきり肩を叩かれた。地味に痛い。
「ちょっとちょっとぉ…異動でしょ?い・ど・う!」
「…あぁ。うん。」
「何その反応!営業部でしょ?栄転じゃん!」

そうなのです。登場人物紹介にあった「総務部」という言葉。ガチの初期設定です。今は総務部ですが、半ページ後にはもう営業部です。…ていうか。
「栄転か?」
「もっちろん!だって伊達さんいるじゃ〜ん。」
「和泉さん?いるけど…え、そんだけで?」
「そんだけで!だってカッコいいもん。」
さすが夏美。THEミーハー女子です。いや、良い意味で。
「あー…でも正直お付き合いはしたくないタイプだよね。」
「え、そうなん?」
私はずっと、夏美は和泉さんと付き合いたいんだとばっかり…。
「だってー…厳しそうだし、恐そうだし、家事完璧じゃないと見放されそうだし、家で緊張感に苛まれるのやだしね。あとやっぱ気難しそうだし盛り上がらなさそう。伊達さんはイケメンを補って余りある短所が…」

「…誰が気難しそうな欠点だらけのオッサンだって?」
夏美の背後に立った人影。
「い…和泉さん!」
「ぎゃあっ!そんなぁ!」
悲鳴を上げる夏美に、和泉さんが笑顔でにじり寄っていく。
「おいお前。」
「こっ…近藤ですっ!」
「おい近藤。」
「は…はひぃっ!」
作り笑顔の和泉さん。怯えまくる夏美。何だろうこれ…面白すぎる。
「俺を見るたび悲鳴を上げるのはやめろ。…あと、仁科とは…部署が変わっても仲良くしてやってくれ。」
意外な一言に思わず顔を上げる私。夏美も驚いたらしい。そしてすぐににやけると、
「よっ!華央梨の父!」
と叫んだ。そのまま逃走。和泉さんをちらっと見ると、何とも微妙な表情。
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