『  』

□妖精の羽音
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  『妖精の羽音』



耳に響く音は昔から聞こえていた

美しい音色

私にしか聞こえない

静かな部屋でこの音に浸ると

自分だけが特別なもののように思えた

時おり大きくなったり小さくなったり

何かを伝えるようにその音は私の耳にだけ伝わる

笛の音に似ている気もしたが

こんな一定の音を美しく保つ笛を聞いたことはない

洗脳でもしたいのだろうか

洗礼でも与えるつもりなのか



その音がただの耳鳴りであると気付いてしまった日から

不愉快でならないのだけれど


 

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