忍の恋

□おかえり
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おかえり


サクラ視点

『解!!』
ナルトの左手、サスケくんの右手が合わさって印が結ばれた。
それによって無限月詠が解かれていく。
私はその様子を、カカシ先生と一緒に眺めていた。

ナルトとサスケくんの後ろ姿。
見慣れた様で、もう随分と見ていなかった光景。
懐かしい……。やっと……。
自分の頬に冷たいモノがつたうのが分かる。
さっき沢山泣いた筈なのに…、なんでこんなに涙が出るんだろう。
全然止まんないや…。
「…やっと、戻って来れたんだね」
「……あぁ。」
カカシ先生からの短い返事。
でも今はそれだけで充分…。
だって…、きっとカカシ先生も私と同じ事を考えているから…。
「じゃあ、俺は五影様達に報告をしてくるよ。
サクラも皆に説明してあげなさいな。」
そう言うと、カカシ先生は走って行った。

私が皆の所に行く頃には、皆がナルトの周りに集っていた。
「…めんどくせぇーが、ちゃんと説明しろよ、ナルト!
てか、その右腕どうした!?」
「あ、いや、なんつーか…。うーん?
カグヤが出て来て、サスケがどっか行って、オビトが助けてくれて、、、まぁそんな感じで勝てたってばよ!!
あ、この右腕はまた別で…」
「アンタの説明じゃ、何が何だかサッパリわかんないのよ!!」
ナルトに詰め寄るシカマルといの。
それにたじたじになりながら答えるナルト。
「でもまぁ、勝てたって事は分かったし。シカマル、いの、後で詳しくカカシ先生から聞けばいいんじゃない?」
「よくない、なぜなら…「あーもう!お前はまたそれかシノ!!」話を遮るな、キバ…。」
「お疲れ様、ナルト」
個々に思っている事を言う、チョウジ、シノ、キバ、サイ。
それを半歩下った位置で嬉しそうに見守っているヒナタ。
そして、、、
その輪に入れていないサスケくん…。
私はサスケくんの横に立って、皆の様子を見ていた。


「あっ!思い出した!」
とナルトがいきなり言い出した。
「ヒナタ!」
「…え、え!?私…?」
いきなり呼ばれたヒナタはビックリしたように返事を反した。
ナルトはヒナタの正面に立って、
「さっきはありがとな!
ヒナタが俺の手を握っていてくれたおかげだってばよ!!」
と言うと、ヒナタの手をとって強く握りしめた。
言われたヒナタはというと、湯気が出そうな程顔を真っ赤にして、口をポカンと開けたまま動かなくなってしまっていた。

「…あの馬鹿。」
「ウスラトンカチが…」
二人して同時に同じ事を思ったのがおかしくって、私は少し笑ってしまった。
サスケくんも、呆れ口調で、でも優しい目をしていた。
「ふふっ。…なんだか、懐かしいね」
「………そうだな」
サスケくんが反してくれた。
今、私の隣にサスケくんがいる。
これは無限月詠でも夢でもない、現実なんだ…。
ずっと望んでいた事、思い描いていた事、信じていた事。
諦めようと思っても、無理だった事。
色々な感情が溢れてくる。
私はサスケくんの手をとって歩き出した。
「行こう、サスケくん。
皆の所に!」
本当に、良かった…………!!!


「おー!来たってばよ!!
じゃあ皆、せーのでいくぜ!」
せーの!!
「「「おかえり!サスケ(くん)!!」」」
「おかえり…サスケくん!」
「………ただいま」
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