忍の恋

□大切な人
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『君には大切な人がいますか?』
『人は、大切な何かを守ろうと思った時に、本当に強くなれるものなんです』


「ナルトくん」
懐かしい声が聞こえる。
「…ナルトくん」
誰だったか、、いつ聞いた声なのか、、
少し考えれば分かりそうだけど、眠気が邪魔をして考えられない。
もう、意識を手放してしまおうかと思ったその時
「ナルトくん!」
やっと声の主が分かり、飛び起きた。

「お久しぶりです、ナルトくん」
「お、お前は…白のにいちゃん!?」
「はい」
「え?なんで白のにいちゃんがここにいるんだってばよ!?
てゆーか、ここどこ!?」
周りを見渡すと、白い霧で覆われていて、今自分がどこにいるのか分からなかった。
「霧が晴れたら直ぐに分かりますよ。」
白が言った通りに、霧は直ぐに晴れ、自分が今どこにいるのかが分かった。
「ここってば、ナルト大橋…?」
「えぇ」
「な、なんでここに?
俺ってば、木の葉の里の自分の家でラーメン食ってた筈なのに!!
白のにいちゃんも生きてるし、もう何がどうなってるんだってばよ!?」
パニックを起こしているナルトとは対照的に、白はくすくすと楽しそうに笑った。

「ふふっ。これはね、君の夢の中なんです。だからナルト大橋にいるし、僕も生きています。」
「はぁ!?夢!?」
「はい、夢です」
パニックも段々収まってきたナルトは、白の言う通り、夢の中の出来事と割りきって久しぶりの再会を嬉しく思う事にした。

「なんか納得いかない所もあるけど…白のにいちゃんが言ってるんだから信じるってばよ!」
「ふふっ。もう白の''にいちゃん''ではないですよ。
ほら、僕よりナルトくんの方が背が高い!」
「あっ。そう言えばそうだってばよ!」
「ふふっ。数年前はあんなに小さかったのに、もうすっかりお兄さんですね!」
「おう!俺ってば、もうサスケと変わんないくらいなんだってばよ!」
「良かったですね!
サスケくん…懐かしいですね
仲良くやっていますか?」
「え?あ、うーーーん…
凄い大きな喧嘩してたけど、もう仲直り出来て、今では仲良くやってるってばよ!
勿論、サクラちゃんやカカシ先生も!」
「サクラちゃん…あの女の子ですか!綺麗になったでしょうね」
「うん!あっ、でも怒るとスゲー怖いってばよ…」
「そうですか…」
「あーー!!そうそう!
サスケとサクラちゃん、そろそろ結婚するんだってばよ!!」
「え!そうなんですか!?」
「サスケの奴!サクラちゃんを泣かせたらタダじゃおかないってばよ!!」
「ふふっ。
サスケくんにも、大切な人が出来たんですね。」
「あぁ、そうだな!」


「僕が、ナルトくんに会いに来た理由は、もう一度あの質問をする為です」
そう言って白はニコっと笑った。
「君には、大切な人がいますか?」
「おう!沢山!!」

「マダラとの戦いが終わって、忍の世界に本当の意味での平和が訪れて、俺には沢山の仲間がいるんだ、ってよくわかったってばよ!」
「うん」
「だから!俺の大切な人は、俺の仲間達全員だってばよ!!」
「そう…「で、でも…!」??」
「俺にも、一番大切な人が出来たんだってばよ…!」
ナルトは恥ずかしそうに、でも嬉しそうに笑った。
「あのね、俺、彼女出来たんだ。」
「うん」
「ソイツは俺の事、ずっと前から見ててくれた。俺が皆に嫌われて孤独だと思っていた時も、ソイツは俺の事、認めてくれてた。
でも俺は全然気付いてなくて、最近やっとソイツの思いに気付いたんだってばよ。」
「うん」
「そんな俺でも、ソイツは大好きだって言って、いつも支えてくれる。」
「うん」
「俺は、そんなヒナタが好きで、大切で、守らなくちゃって思う。……あっ」
「ふふっ。ヒナタちゃんって言うんですね。
いい子なんですね」
「……………うん
俺には勿体無いくらい」
「そんな事ありませんよ、
ナルトくんが、ナルトくんの信じた忍道を真っ直ぐ行ったからこそ、ヒナタちゃんも、他の仲間達もナルトくんを支えてくれたんです。
ナルトくんは充分カッコイイですよ。」
「へへっ。そっかなぁ〜」
「えぇ」


「じゃあ、楽しい夢の時間はそろそろ終わりですね」
「そうだな」
「大きくなったナルトに会えて本当に良かった!
大切な人にも、出会えた様ですし!」
「俺も、白のにいちゃんに話聞いてもらえて良かったってばよ!」
「そういってもらえると、嬉しいです」
「…白のにいちゃんは成仏するの?」
「んー、そうですね。
やっとこれで、再不斬さんの元へ行けます。」
「そっか」
「はい、、
…穢土転生をされて、一つだけ良い事がありました。
僕は、再不斬さんに愛されていた。それを知る事が出来た。
僕は…幸せ者です。」
「…良かったな!白のにいちゃん…!!」
「ありがとうナルトくん。お幸せに」
白い、白い光がナルトと白を包んだ。


ピピピピピピピ…
「……ぅ、んー」
目覚しの音で起きたナルトが、周りを見回してみると、ここは確かに見慣れたナルトの部屋だった。
『やっぱり夢だったんだ…』
ナルトは布団から出て、朝ご飯の支度を始めた。
『なぁんか、忘れてる気がするってばよ…』
と頭を掻き毟りながら考えていると、外から「ナルトくん、いる?」と控え目な声が聞こえた。
「?ヒナタ?
……っあー!!忘れてたってばよ!!」
今日10時からデートだったのに!何やってるんだってばよ!
急いで玄関を開けに行った。

「っごめん!ヒナタ!
寝坊した…。」
「ふふ、大丈夫だよ。ナルトくん」
「と、とにかくあがるってばよ!」
「おじゃまします
…ね、ねぇナルトくん…、朝ご飯まだなら私が何か作ろうか?」
「えっ!?」
「あ…、いらないならいいの…」
「いっいや!!俺ってば、ちょー腹減ったってばよ!
ヒナタが良いなら、何か作って欲しいってばよ!!」
「うん…!簡単な物なら」
「ありがとう、ヒナタ!」


『白のにいちゃん…
俺、幸せ者だってばよ!!』
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