書籍

□ありがとう
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「先輩」

どうぞ

そう言って渡したのは淹れたてのココア
先輩が好きな牛乳で割ったものを渡した

「ありがとー!あー美味しい」

ほっ、と崩れた笑みをする先輩が俺は好きだ
"平和"なんだと思わせてもらえるからだ

「急にごめんね、譲くん」

訪ねちゃって

なんて、申し訳なさそうにする先輩だが、俺たちの家は隣どうして子供の時からの付き合いで、今更気にすることなんて無いと思うのに、それでも謝る彼女が律儀で美しいと思う

あの遙かなる世界から帰ってきた俺たち
兄さんは、自ら残るといい俺たちのもとから離れた

先輩が自分の恋人になったのに、何だかぬぐえない不安感…
だけれど、先輩がいればなんとかなるような気がする

……『なんとかなる』、だなんて先輩の性格が少しばかり移ったかもしれない

「譲くん?」

俺を見て首を傾げるの先輩を可愛いと思いながら返事をすると

「大好きだよ!」

一緒にいてくれてありがとう

そう言われた事に驚きながらも、

「…こちらこそ、」


"ありがとう"を言葉に


(こういうのって、何だか照れ臭いね)
(そ、そうですね、)
(譲くん顔真っ赤〜!)
(そっ、そう言う先輩だって!)


20150503

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