散り始める花

□気
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朝日の光は眩しくてしょうがない。起きたばかりで焦点がしっかりとしていない目を細める。


こんな早朝に庭に出ている者は居らず、一人心地よい風に吹かれている。


あまりに気持ちが良いため、このまま目を閉じもう一度寝てしまおうかと思うくらいである。





–––––平和だ。





ふと思った。

争いは収まる気配を感じない。京の街は今日も喧嘩が絶えない。たが、あまり大きなことが起こらない。とても平和だ。



俺はすぐに考えを改める。
平和慣れしてしまってはいざとなったとき、対応しきれないくなるかもしれない。それは武士としては避けたい。なにか平和とはかけ離れた非日常はないのか、俺は記憶を探った。




そういえばつい最近、妙な隊士が入隊してきた。男にしては(女にしてもだが)申し分ないくらいの容姿で、行動の一つ一つに品がある。とても挑発的な態度をとり、あまり好まれない人柄かと思いきや、時々紳士的になることがあり…とよく掴めない男だ。

副長や他の幹部たちはそれに納得のいっていない様子だし、もちろん俺もしていない。…でも最近、平助たちは『千遥』と呼んでいて、ソイツに気を許しているようだ。…解せぬ。


まあ腕がたつのだけは唯一の救いだろう。



–––––ドゴンッ

『…いったたたたた…』



突然、なにかが落ちる音と誰かの声が聞こえた。


とっさに後ろを向いた俺はその正体を知った。




斎藤「……桐生…」


『やあ、斎藤君。おはよう。今日も清々しいくらい良い天気だね』


そう答えた桐生は屋根から落ちたにも関わらず清々しいほどの笑顔だ。というか、何故屋根の上に…。


噂をすればなんとやらとはまさにこのことだろうか。



『あ、そうだ。斎藤君、今日君は暇かい?』


斎藤「今日は非番だが…」



ああ、よかった。安堵の言葉を漏らした桐生は言葉を続ける。



『僕とデートしようよ』


斎藤「…でいと……とは?」


『うーむ。出かけようってことだよ』


斎藤「何故?」


『何故って言われても…そうしたいからじゃないのかい?』


いや、俺に聞かれても。と内心困ってしまった。俺と共に京の街を歩いたとして何が楽しいのだろうか。


思わずのけぞるような気迫に圧され、俺は肯定の言葉を言った。
















『お団子ってほんと美味しいよねェ。君もそう思わない?』



隣には俺に奢らせた団子を頬張る桐生。

心底幸せそうな顔を見て少しホッコリしてしまう。あれだけ気にくわないと思っていたのだが。



斎藤「いや、別に」


『まったく…素っ気ないんだから』



少し拗ねたように言う彼に可愛いな…と思った。

























!?
































斎藤「断じて違う断じて違う断じて違う断じて違う」


『どしたの』



怪訝な目で俺を見てくる桐生に気付かず、頭を抱え呪文のように言葉を唱えた。










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