薄桜鬼

□洋服
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「これより先、服装を改める。」

すべてはこの一言から始まった。
まさかこんな辱しめを受ける事になろうとは思わなかった。





これからの戦は動き易さを重視し、洋服の官軍から目立たない為にもこちらも洋装にするという。

………流石は副長。行動が早い。

しかし洋装とは官軍を見る限り窮屈そうで滑稽で、正直あまり着たくはない。が、副長命令故、承知。


幹部達が集まり、それぞれ割り当てられた洋服を副長から受け取る。
名前を呼ばれて前へ進み出ると、

「斎藤、お前にはこの服だ。これからも存分に働いてくれ。」

「はい。これからも新選組の為に尽くします。」

洋服を受け取り顔を上げると、副長と目が合った。僅かに微笑まれて、それが気恥ずかしくて顔を俯けた。

副長に、頼んだぞと言われた様な気がした。

与えられた洋服は着物よりも軽く感じて、何故か新選組の行く末が少しだけ不安になった。



装いを新たに、今まで以上に副長と新選組に仕えようと決意する。
洋服を広げてみる。
黒が主張の上下。
副長自ら選んで頂いたものなのだろうか。

だとしたら、こんなに嬉しく有難い事はないと洋服を軽く抱きしめた。






………しかしこれは、どの様にして着るのだろうか?
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