ギャグ小説の段

□兵庫水軍怖い話大会
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―ぱんっ
互いに抱き合い悲鳴をあげると同時に、兵庫第三協栄丸がぱん、と一つ手を打った。

兵庫第三協栄丸「ほらほら、若いもんをあまり怖がらせるんじゃねぇ」
疾・間・航・網・東「「「「「わぁぁー……、…って、へ?」」」」」
蜉蝣「ははは、すみません」
義丸「ほら、重!もういいぞ」
重「はーい」

すると濡れた手がよっこいしょと体を持ち上げ、見えた顔は重の顔だった。

重「へへ、どうでした?」
蜉蝣「バッチリだ」
義丸「グッジョブ!」
東南風「なーんだ重かぁ…、って騙したなぁ!」
蜉蝣「あはは!いやぁ、俺たちと同じ体験をと思ってな」
間切「笑ごとじゃないですよー!」
航「本当に怖かったんですから!」
蜉蝣「あはは、すまんすまん」
??「ぎゃー!やだぁー!」
兵庫第三協栄丸「ほら、お前らもう大丈夫だから」
??「ぎゃー!」
兵庫第三協栄丸「結局濡れ女子はいなかったんだ」
??「助けてー!」
兵庫第三協栄丸「もう騒ぐなって」
網問「お頭ぁ〜」
航「僕たちじゃないですよ?」
兵庫第三協栄丸「ん?」

兵庫第三協栄丸が声のする方を見ると、そこにはガッチリと鬼蜘蛛丸の体にしがみついた男の姿。

疾風「いやー!ごめんなさーい!」
間切「ほらね?」
兵・蜉・義・鬼・舳・重――おい、親父…――
東南風「疾風兄、大丈夫ですよ」
網問「濡れ女子はいなかったそうですよ」
疾風「助けて〜…て…、へ?そうなの?」
蜉蝣「あぁ。濡れ女子は結局いなかった」
疾風「…なーんだ!驚かすんじゃねーよ!」
蜉蝣「いい歳して怖がってんじゃねーよ」
鬼蜘蛛丸「あのー…、疾風さん。いつまでもしがみつかないでもらえます?」
疾風「おわっ!すまねぇ」
重「でも、あの時本当に海からバザッて上がってきた時は怖かったですよね」
義丸「あぁ。鬼蜘蛛丸なんか俺の腰にしがみついて、生まれたての子鹿みたいに足ぷるぷるさせてたもんな、あっはっは」
鬼蜘蛛丸「あぁっ!?義、どさくさにまぎれて何言ってやがる!!」
義丸「本当の話だろ?」
鬼蜘蛛丸「う、うるせー!」
重「その点舳丸の兄貴は凄かったですよね!」
蜉蝣「最初から最後まで闘いの構え崩さなかったからな」
舳丸「えぇ」
兵庫第三協栄丸「それでこそ海の漢だ!!」
蜉・鬼・義・舳・重「……」
蜉・鬼・義・舳・重――一番最初に逃げたのはどこのどいつだよ?――


 
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