ギャグ小説の段
□夏休みの日記 4年い組 平滝夜叉丸
2ページ/4ページ
○月×日
今日は道ではばったり乱太郎に出会った。町に畑の肥料を買いに行くらしい。
「私も行こう」
荷物持ちを買って出たが、
「大丈夫です」
「なに遠慮をするな」
「大丈夫です!」
「遠慮するなってぇ〜」
「本当に大丈夫です!さようならー!」
走って行ってしまった。さすがの私も乱太郎の足の速さには追いつけない。
「気をつけていけよー!」
背中に向かって叫んだ。
なにを遠慮することがある?たまには先輩に甘えればよいのに。可愛いやつめ。
○月△日
町の呉服屋へ新しい衣の相談に行った。
「紫色の生地で、薔薇と蝶々の柄がついたものを探しているのだが?」
店主が持ってきた生地は見事に薔薇と蝶々が舞い踊り、生地に光る糸が縫いこまれていた。
「少し派手では…?」
「なにを仰るお客様!とてもお似合いですよー!お客様のために生まれてきたような生地です!」
「いやいや、そんな煽てても買いませんよ?」
「この生地はお客様しか着こなせないっ!いよっ!日本一!いや、世界一っ!もうこの村一番てことでいいやっ!」
「これで作って下さい」
○月☆日
今日は裏庭で千輪の練習をした。
木の枝の狙った場所に見事に千輪を投げ、いくつもの小枝を払い落とした。
気がつけば木は丸裸になっていた。さすがは私。
「さぁ、いい汗をかいたので風呂に入ろう」
一歩踏み出すと、足首に布がまとわりついた。
「おや?」
気がつけば私も丸裸になっていた。
なぜだろう?
う〜ん…スリルとサスペンス〜
とにかく家の敷地内でよかった。
○月Σ日
町へ買い物へ出かけた。
なにやら私の後をつけてくる気配がする。しかしここまでバレバレの尾行とは。忍者ではないはずだ。
振り返るとたくさんの女子が列をつくっていた。
振り向いた私を見て黄色い歓声が上がる。
ふっ、モテる男はおちおち買い物もできないものだ。
○月※日
峠の向の山の頂きにある城で鬼が悪さをしているらしい。
「怖いわねぇ」
「私たちも襲われたらどうしよう」
町でおじさんみたいな顔のおばさんが立ち話をしていた。
おじさんみたいな顔のおばさん…、あれ?おばさんみたいな顔のおじさん?
とにかく、あんたたちは襲われる確率は少ないと教えてあげたい。
○月◇日
朝日とともに私は出立を決意した。
そう、城を助けに行くのだ。
長く険しい道を私は氷菓子を片手に舗装された道を歩いている。
暑い…誰だ、今年は冷夏だと言ったのは!信じてたのにっ!!