ギャグ小説の段

□夏休みの日記 4年い組 平滝夜叉丸
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 ○月×日
 今日は道ではばったり乱太郎に出会った。町に畑の肥料を買いに行くらしい。
 「私も行こう」
 荷物持ちを買って出たが、
 「大丈夫です」
 「なに遠慮をするな」
 「大丈夫です!」
 「遠慮するなってぇ〜」
 「本当に大丈夫です!さようならー!」
 走って行ってしまった。さすがの私も乱太郎の足の速さには追いつけない。
 「気をつけていけよー!」
 背中に向かって叫んだ。
 なにを遠慮することがある?たまには先輩に甘えればよいのに。可愛いやつめ。

 ○月△日
 町の呉服屋へ新しい衣の相談に行った。
 「紫色の生地で、薔薇と蝶々の柄がついたものを探しているのだが?」
 店主が持ってきた生地は見事に薔薇と蝶々が舞い踊り、生地に光る糸が縫いこまれていた。
 「少し派手では…?」
 「なにを仰るお客様!とてもお似合いですよー!お客様のために生まれてきたような生地です!」
 「いやいや、そんな煽てても買いませんよ?」
 「この生地はお客様しか着こなせないっ!いよっ!日本一!いや、世界一っ!もうこの村一番てことでいいやっ!」
 「これで作って下さい」

 ○月☆日
 今日は裏庭で千輪の練習をした。
 木の枝の狙った場所に見事に千輪を投げ、いくつもの小枝を払い落とした。
 気がつけば木は丸裸になっていた。さすがは私。
 「さぁ、いい汗をかいたので風呂に入ろう」
 一歩踏み出すと、足首に布がまとわりついた。
 「おや?」
 気がつけば私も丸裸になっていた。
 なぜだろう?
 う〜ん…スリルとサスペンス〜
 とにかく家の敷地内でよかった。

 ○月Σ日
 町へ買い物へ出かけた。
 なにやら私の後をつけてくる気配がする。しかしここまでバレバレの尾行とは。忍者ではないはずだ。
 振り返るとたくさんの女子が列をつくっていた。
 振り向いた私を見て黄色い歓声が上がる。
 ふっ、モテる男はおちおち買い物もできないものだ。

 ○月※日
 峠の向の山の頂きにある城で鬼が悪さをしているらしい。
 「怖いわねぇ」
 「私たちも襲われたらどうしよう」
 町でおじさんみたいな顔のおばさんが立ち話をしていた。
 おじさんみたいな顔のおばさん…、あれ?おばさんみたいな顔のおじさん?
 とにかく、あんたたちは襲われる確率は少ないと教えてあげたい。

 ○月◇日
 朝日とともに私は出立を決意した。
 そう、城を助けに行くのだ。
 長く険しい道を私は氷菓子を片手に舗装された道を歩いている。
 暑い…誰だ、今年は冷夏だと言ったのは!信じてたのにっ!!

 
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