ギャグ小説の段
□雪ん子〜side by 土井〜
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「庄左ヱ門、何があったのか説明してくれ」
庄左ヱ門の後ろを走りながら土井が説明を求める。
「はい」
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「文次郎勝負だー!」
「望むところだ留三郎!ギンギーン!」
用意してある雪球を互いに投げ出す二人。
「あぁー!そんなにたくさん投げたら雪球がなくなっちゃいますよ〜!もっと節約してくださーい!」
慌てるきり丸。
「さぁ、俺たちもやるぜ一年生!いけいけドンドーン!」
「痛っ!」
「えいっ!」
一年生も後に続いて一斉に投げ出し、雪合戦が始まった。
「千輪を投げさせたら忍術学園一のこの私は、千輪を雪球に変えてもその腕は落ち…―ベチャ!
滝夜叉丸の頬に柔らかく、それでいて異様に冷たいものがあたり、それはベチャ、と音を立てて崩れた。
「……」
頬を触ると、白く水気のある粉砕した物が手についた。
「……これは…」
「あはは、ごめんごめん!」
陽気に謝るのは久々知兵助。
「久々知先輩!」
「ごめんごめん。間違えて豆腐投げちゃったよー。でも、痛くなかっただろう」
「痛いとか痛くないの問題ではありません!どうやったら豆腐と雪球をまちがえるんですかー!?あぁ、私の美しい顔が…」
「あはは、ごめんごめんー」
一方、防護壁へ身を隠しながら相手へと雪球を投げる乱太郎と伏木蔵。
「えい!」
「乱太郎、なかなか当たらないねぇ…」
「うん、凄く難しい」
「本当の合戦場では、そんな流暢なこと喋っていられないよ」
二人の間から、ぬっと顔が現れた。
「わぁっ!」
「ひゃあっ!」
驚く乱太郎と伏木蔵を見比べながら顔が笑う。
「ふふ。本当の合戦ではこうして敵の背後を取るのもまた重要になるんだ」
「雑渡さん!」
伏木蔵が飛びつく。
「伏木蔵くん、乱太郎くん、久しぶりだね」
「雑渡さん、どうして忍術学園にいらしたんですか?」
「ん?ひ・み・つ」
雑渡は“ひ・み・つ”と言いながら人差し指を左右に振った。
「ほら、合戦ではまずああゆう人間を狙うんだ」
雑渡が指を指したのは、不破雷蔵だった。
雷蔵は誰を狙うかで、きょろきょろしている。
「ああして決断力のない人間はすぐにやられる。
では、まず伏木蔵くんが雷蔵くんに向かって雪球を投げるんだ。それに続いて乱太郎くんが、雷蔵くんが雪球をよける方向を予測して雪球を投げるんだ」
「予測なんてできませんよ〜」
「予測と決断力を身につけなければ一流の忍者になれないよ。さぁ、二人とも雪球を持って」
乱太郎と伏木蔵は雪球を手にし、
「では、伏木蔵くん投げるんだ」
「は、は、は、はい!」
伏木蔵は、えいや、と雪球を投げた。
「それ、乱太郎くんも投げるんだ」
「えーと…、右!」
乱太郎も、とう、と雪球を投げた。