ギャグ小説の段

□羽衣伝説
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疾風「これか?これはなぁ、天女(お姉さん)の…「あぁーー!!!」


蜉蝣が布を指さして叫んだ。


疾風「!?」

蜉蝣「こんなところにあったかぁ!」

鬼蜘蛛丸「蜉蝣兄、これ知ってるんですか?」

蜉蝣「知ってるも何も…!疾風が拾ったのか?」

疾風「いや、網問が」

蜉蝣「そうかぁ、網問が。どこにあった?」

網問「浜辺の松の木に引っかかってました」

義丸「天女(お姉さん)の羽衣ですよ!」

蜉蝣「天女(お姉さん)の羽衣?」

疾風「おうよ!今からこれが引っかかってたところへ行って、お姉さんを探すんだ」

蜉蝣「?」

疾風「蜉蝣、お前も来いよ!」

蜉蝣「さっきから何言ってるんだ?天女(お姉さん)とか、羽衣とか?」

疾風「お前、羽衣伝説知らないのか?いいか、羽衣伝説ってのは…」

蜉蝣「いやいや、羽衣伝説は知ってるぜ?じゃなくて…」

鬼蜘蛛丸「蜉蝣兄は、これの持ち主を知ってるんですね?」

蜉蝣「だから知ってるも何も、これ俺のだから」

疾・鬼・義・網「「「「はいっ!!?」」」」

疾風「おいおいおいおい〜。ダメだぜ、蜉蝣?独り占めなんて、兵庫水軍の掟其の51『独り占めはだめよ』に反するじゃねーか」

蜉蝣「独り占め…?」

網問「これ蜉蝣兄のなんですか?」

蜉蝣「そう。洗濯して干してたんだけど、風で飛んじまったんだなぁ。見つけてくれて助かったよ」

網問「蜉蝣兄はこれをどこで手に入れたんですか?」

蜉蝣「ん?どこって、ふんどし屋」

鬼蜘蛛丸「ふん?」

義丸「どし?」

蜉蝣「そ、俺のふんどし」

鬼・義・網「「「え゛っ…!!?」」」

疾風「はい゛ーーーっ!!?」

蜉蝣「ほら」


蜉蝣が袴から今現在巻いているふんどしをチラリと見せた。


鬼蜘蛛丸「確かに…」

義丸「この布と色違いですが…」

網問「同じ布ですね…」

疾風「……うぇーーー!!!」


疾風が口を押さえてかけ出した。


蜉蝣「どうしたんだ、疾風?」

鬼蜘蛛丸「いや、ちょっと…」

義丸「陸酔い、じゃないですかねぇ…」

蜉蝣「あいつ陸酔いしたっけか?」

網問「疾風兄は、その布が天女(お姉さん)の羽衣だと思って、頬…うぷっ!」


鬼蜘蛛が網問の口を塞ぐ。


蜉蝣「ほぉ…?」

義丸「なんでもないです!!それより、随分といい布のふんどしをされてるんですね?」

蜉蝣「あぁ。俺、敏感肌でなぁ。他の布だと痒くなっちゃうんだよ。オッサンなのに、お尻だけ赤ちゃんなんだよなー!あーはっはっはっはっはーー!」


今日も瀬戸内の海岸には、蜉蝣の豪快な笑い声と疾風の嗚咽が響く。





ちゃんちゃん。

 
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