ギャグ小説の段

□告白大作戦
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 「はぁ…」
 会計委員会委員長の席で10キロそろばんを前に頬杖をつき、なにやら物思わしげにため息を付くのは、会計委員会委員長・潮江文次郎(15)。
 頭の中は常に闘うことと各委員会予算削減のことしかないと思っていた彼が、
 「はぁっ……」
 恋をした。


 「なんか最近潮江先輩、委員会に身が入っていませんね?」
 「あぁ、どうしたんだろうな?」
 文次郎の胸の内を知らない者たちは、明らかにいつもと様子の違う彼を見ては、ひそひそと内緒話をした。
 委員会中にそんな私語を話している後輩にも気がつかず、潮江はパチン、とそろばんを弾いてはまた一つため息をつく。
 「はぁ……」
 「「……?」」




 「…とゆうことで、潮江先輩をどうにかしてくれませんか?」
 「これじゃあ会計委員会の仕事が溜まってしまいます!」
 「そうか…」
 食満に相談に来たのは会計委員会の三木ヱ門と団蔵。
 「でもなぁ…」
 頭を搔き、なにやら困った表情をする食満だが、しかし後輩想いの彼の辞書には“断る”という二文字はないのだった。
 「いや、可愛い後輩の頼みとあらば、聞いてやらなきゃな!!俺に任せておけ!」
 「「お願いしますっ!」」



 「善は急げだ!早速文次郎のもとへ行くとしよう」
 食満は立ち上がり潮江を探した。
 「文次郎いるかー?」
 潮江の部屋に行ってみたが、部屋の中にいたのは同室の立花仙蔵のみ。
 「あれ?文次郎は?」
 「さぁ?また団子屋ではないか?」
 「はぁ…、またかぁ〜」
 食満が大きなため息を付くのも仕方が無い。ここのところ毎日のように潮江は峠の団子屋に通っているのだ。
 というのも…




 「いらっしゃいませ〜」
 「だ、だだ、団子をひ、ひと、ひとつ!」
 そう言いながら潮江はなぜかピースサインをした。
 「はい?お二つ?」
 「違った!一つでいいんです、一つで!」
 慌てて中指を引っ込め、人差し指だけを立てる形にすると、
 「はい、かしこまりました」
 にこりと笑い、団子屋の娘は店へと引っ込んだ。
 ここは忍術学園より30分ほど歩いた場所にある、峠へと続く街道。
 そこに一軒の団子屋があり、
 「あの娘が文次郎が目当ての娘か…」
 「あぁ」
 食満と仙蔵は店の向かいにある木の陰に隠れ、潮江の様子を見に来ていた。
 「確かに可愛いが…あいつが恋愛ぃぃ〜!?似合わん!似合わなすぎるぞっ!」
 「うるさいぞ留三郎!気がつかれたらどうするんだ!」
 「す、すまない」
 「話を戻そう。文次郎は実習の帰りにたまたまこの店の前を通りかかり、あの娘に一目惚れをしたらしい。それ以来毎日あの娘目当てでここへ通っているとゆうわけだ」
 「ずいぶんと説明口調だな、仙蔵…。そんなことより!恋をして授業にも委員会にも身が入らないなど言語道断!俺が喝を入れてやる!」
 食満が右腕をブンブンと振り回すと、
 「待て!」
 仙蔵が食満の前へ片腕を出しそれを制す。
 「それよりも、ちゃんと想いを伝えた方がいいのではないか? 」
 「それは…、告白とゆうことか?」
 「そうだ」
 「あーはっはっ!あの筋肉馬鹿に恋愛の“れ”の字も分かるものか!」
 「ならお前には分かるのか?」
 「うっ……!!」
 「仕方が無い。忍術学園で恋愛が得意そうな人間を探すとしよう。その人間に恋愛のノウハウを教えてもらうのだ」
 「そんな奴いるかぁ?」
 「さぁ?人は見かけに寄らないと言うしな。もしかしたら百戦錬磨のツワモノがいるかもしれん」


 
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