氷結のプリンセス
□氷結のプリンセス
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【輪廻転生】
2×××年-トウキョウ。
「もう少しだ!頭が見えてきたぞ!」
もう間もなくで新たな命が誕生する。
それは二人の男女が愛して授かった大切な命だった。
女は額に汗を流して、その時はまだかと待ちわびていた。
「ひ、ひ、ふーっ…あ、あぁぁぁ!!」
「産まれる!産まれるぞ!」
女が声をあげたと同時にその時は来た。
看護師が新しい命をその腕で受けとる。
「う、おぎゃー……」
「せ、先生!この子以上に体温が低いです!!」
生まれた子はすぐさま集中医療室に運ばれた。
機械音が響く病室で子は静かに息をしていた。
小さな光しか受け取れない瞳には哀しみが映る。
あぁ、またこの時が来たのね。
この星の生命たちよ、いますぐお逃げ。
この星を護る戦士がいるのなら、はやく私を見つけてください。
どうか、この力が覚醒してしまう前に私を…ー
「殺して」
そう言って彼女は子の中に静かに眠った。
地球から離れた宇宙まで哀しみの叫びは届く。
彼女の声を感じ取ったのは、地球を護るセーラー戦士たち。
ギャラクシアとの戦いを経て、愛する人と共に過ごしていたセーラームーンは彼女の声で目を覚ました。
「どうした、うさこ」
「声が聞こえたの。それと…氷の中に女の子がいた」
「嫌な夢でも見たんじゃないか」
「わからない。でも嫌な予感がする。トウキョウで何かが生まれたわ」
セーラームーンは起き上がり、仲間たちを集めた。
そして自分の勘を信じて再びトウキョウに転生することを決意する。
セーラームーンたちと同時刻、宇宙の遥か彼方キンモク星の火球皇女にも伝わった。
「ファイター、メイカー、ヒーラーいますか」
「プリンセス、なにかあったのですか?」
「遥か遠くからとても悲しい声が聞こえました。私の癒しの力を必要としているはずです」
「遥か彼方とは?」
「…おそらく私達がお世話になった地球です。共に行きましょう」
「プリンセスのためなら、どこまでもついていきます…」
「また地球か……」
火球皇女とファイター、メイカー、そしてヒーラーは再び地球へ向かった。
セーラー戦士たちはまだ彼女の正体も名前も知らない。
ただならぬ星のエナジーをプリンセスたちが感じとり、それぞれがトウキョウに転生したのだった。
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