※黄瀬君がわんこではありません ※黒子っち視点 ※↑苦手な方はご注意下さい ボクはズルいのかもしれない。 何度も構ってくるキミに甘えているのかもしれない。それはとても心地よくて、手放したくないと願ってしまう。 こんなボクをキミはどう思うのだろうか。 ボクはキミの気持ちが、知りたい。 部活を終え帰るころには日は沈み、もう冬なんだと実感する。吐く息も少しずつ白くなっている気がする。 そんなことを思いながら帰り道を歩いていると目の端に鮮やかな色が飛び込んでくる。 それと同時に彼の声がボクの耳に届く。 「黒子っち、部活お疲れさま」 「黄瀬君、どうしてここに?それに部活はどうしたんですか?」 黄瀬君は微笑むと 「黒子っちをお迎えにあがりましたー。部活は監督に用事があって早めに終わったんスよ」 と言いながらボクに近づいてくる。 明日明後日と連休でボクも黄瀬君も部活は休み。しかも黄瀬君の仕事も入っていないとなればお泊りのお誘いがくるわけで。 「そうでしたか。お迎えありがとうございます、黄瀬君。でも泊り用の道具何も持ってきてないので一度家に帰らないといけないんです。すみません」 「あー、大丈夫っス。だろうと思ってオレが黒子っちの家に泊まるつもりでこっちに来たんで」 「また、そんな勝手に」 「でも黒子っちのご両親、旅行中スよね?」 「なんで知ってるんですか?」 「昨日の夜に連絡もらったス」 そう言葉を返す黄瀬君に少し驚くと同時になぜボクの親は勝手なことをするのか。 「黒子っちをよろしくねって言われたんスけど旅行のこと聞いたんでそっちにお邪魔していいかって聞いたら快諾して貰えたっス」 「何も聞いてないんですが」 「知らないほうが面白そうなんで黙っといてくださいってお願いしたっスよ。驚いた?」 「おかげさまで。なぜキミがここにいるのかとかなぜうちの親がキミの連絡先を知っているのかとかなぜ息子に何も言わないのかとかそもそも息子を置いて旅行に行く両親どうなのとか挙げると切が無いと言うことにも驚かせていただきました」 ため息を吐きながら黄瀬君を見れば悪戯に成功した子供のように笑っている。 ボクは彼の笑顔にほっとする。 「黒子っち、どーした?」 「いえ、なんでもありません」 「じゃあ、行こっか」 そう言って差し出されたその手をボクはそっと掴む。するとしっかりと握り返してくれた。 驚いて顔をあげると黄瀬君はまた微笑んでいた。 「もう離さないから甘えていいよ、黒子っち」 黄瀬君がそんなことを言うものだらボクは泣いてしまった。 ボクはやっぱり不安だったのだろう。 仲間との、信頼している人との、友人とのいつ来るとも限らない決別が。 黄瀬君は少し困った顔をして、ごめんねと小さく呟くとボクの髪にキスをした。 「黒子っちは何も言ってくれないからオレがしたいようにするって決めたんスよ。黒子っちがオレの側にいる時は甘やかすって。そしてこれが一番重要っス!」 黄瀬君を見つめると彼ははっきりと言葉にした。 「オレの心は黒子っちのもの。この先、何があってもオレは黒子っちの側を離れないから。何があっても必ず黒子っちを守るから。だから安心してオレの側で笑っててよ。大好きだよ、黒子っち」 差し出されたその手の温もりはキミの心と同じ温もりでボクを幸せにしてくれる。 それならば同じようにキミにも幸せになってもらいたいと願うのはボクの我が儘なのでしょうか。 黄瀬君、ボクの心もキミのもの。 大好きです、黄瀬君。 ***** 大人な(?)黄瀬君と情緒不安定な黒子っちになってしまいました。 こんなはずじゃなかったたのに…解せぬ。 そして企画に参加させて頂きありがとうございました。 企画サイト『本当の彼』提出 201412006 |