※帝光中パラレル ※黒子がバスケ部ではありません ※むっくんがむっくんではありません ※↑苦手な方はご注意下さい 紫原は少し悩んでいた。 ロードワークに向かったところ誰もが通りすぎる中、自分は見つけてしまったからだ。 隅とはいえ道端に転がる人物を。 面倒なことには関わりたくないがうつ伏せに転がる人物はこの寒さの中、ピクリとも動かない。 うつ伏せに転がる人物は水色の髪を持っていて自分が通っている帝光中の男子制服を着ていた。 それにしてもなぜ誰も気付かないのか。紫原はうつ伏せに転がる人物を見ながら暫く考えていたがまぁ、いいか〜と考えるのを止めのそりと体を動かした。 そして一言。 「軽うー〜…わたあめか!!」 米俵のように担いだ彼はわたあめみたいな軽さで紫原は驚きのあまり担いだ彼を腕の中に抱きなおした。 抱えた彼は自分よりとても小さく肌も白く儚げで病弱そうに見えた。紫原は少しだけ彼に興味を持った。 一先ず、体育館に戻り虹村と赤司に拾っちゃったー、とへらりと笑いながら報告する。一瞬、体育館内は静まりかえるが直ぐに騒然となる。 虹村は直ぐ様、紫原の額に強烈なデコピンをかまし紫原はその激痛に咄嗟に片手で額を押さえ、彼を片手に抱えなおした。どうやら彼を手放すという選択肢が紫原にはないようだ。 虹村も赤司も紫原の腕の中でぐたりとしている彼を元の場所に返してこいとは言えず、マネージャーの桃井に頼もうとしたが 「これ、オレが拾ったからオレの物だしー」 と言って断固として彼を腕の中から放さなかった。 仕方なく保健室に連れて行って目を覚ますまで側に居てやれと言われ、堂々と部活をサボれると紫原はウキウキと体育館を後にした。 保健室に行っても保険医は居らず紫原はベッドにわたあめのような彼を寝かせた。 ベッド脇に椅子を持ってくると頬杖ついてまだ目覚めない水色の髪を持つ顔を見る。 保健室に来るまで結構な扱いを受けているはずなのに目覚めないなんて彼は一体どんな神経をしているのだろう。 未だ閉じられたままの瞳はどんな色をしてるんだろうか。 そんなことを思いながら紫原はまいう棒を取り出したが眠る彼とまいう棒を交互に見た後、まいう棒をしまい彼が目覚めるのを待つことにした。 紫原は暇潰しに目の前で眠る彼の頬を指でつつくと男の割りには柔らかくマシュマロみたいだと思った。 気分が幾分向上した紫原は調子に乗って眠る彼に顔を寄せると仄かにバニラの香りがした。 わたあめだったりマシュマロだったりバニラだったりと彼はお菓子の妖精か!!とか思うとテンションはうなぎ登りだ。もはや彼を見つけたのは運命としか言いようがない。 そんなことを思っていると彼の閉じられた瞼がピクリと反応をする。紫原はその顔を見つめると段々と開かれる彼の瞳に自分の姿を確認した。 そして思いがけない一言。 「…あれ、紫原君…」 「んー、何オレのこと知ってんだー」 「キミを知らない人の方が少ないと思いますよ」 ふーん、そうなんだーなんて返事を返していると彼はジッと紫原を見つめた。その瞳は彼の髪と同じ綺麗な水色で紫原も綺麗だなーとジッと見つめ返していた。 「えっとそれで紫原君。ボクはどうしてここに居るんでしょうか?」 「あ、憶えてないんだー。学校出で直ぐの道の隅で倒れてたからオレが拾ったしー」 「ボクはまた行き倒れてたんですね」 納得しましたと頷く彼にしてみれば日常茶飯事のことなのだろうがこれはちょっと聞き捨てならないと紫原は思った。 「……またってどういう事ー?」 「いえ、ボクって体力がないらしくて月いちでボクも気付かない内に行き倒れてるんですよ。しかもボクって存在感薄いらしくて誰も気付いてくれませんしね」 彼はなぜ照れながら、なんて爆弾発言をかましてくれてんだ。紫原は少し表情を歪める。 「ねぇ、それって死活問題なんじゃないのー」 「かもしれないですね」 「…しかも気付かれないって、今まで誰もってことなのー?」 「はい。ボクに気付いてくれたのは紫原君が初めてです」 運命ですね、と冗談のように言ってる彼の手を握って言った。 「運命ならオレもさっき思ったしー。もし行き倒れそうになったらオレのトコにおいでよ」 「え、でもご迷惑ではありませんか。それに友達ってわけでもありませんし…」 「じゃあ、今から友達になればいいだけでしょー。そう言えばオレ、アンタの名前知んないだけどー」 「え、あ、はい。黒子テツヤです」 「んー、じゃあ黒ちんで。あ、オレ、紫原敦ねーよろしくー」 強引に友達と言うポジションを獲得した紫原はちょっと困惑気味な黒子を余所に満足気にしていた。 紫原は決意した。 このふわふわの少年を絶対に手放さないと。 そして紫原は知らない。 このふわふわの少年の存在がこれからの自分の人生に欠かせないと言うことを。 そして彼に恋をしたと言うことを。 ***** 何事にも無頓着な黒子君と世話焼きむっくんとか…(`・ω・´)イイ!! 20140201 |