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□黒子っちください!!
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※黄黒
※残念なイケメンわんこの黄瀬君
※↑苦手な方はご注意下さい
















「黒子っちください!!」


と、無駄にイケメンの彼は声高らかに体育館を響かせた。
突然にも関わらず体育館でバスケの練習をしていた面々はあー、またかと声には出さずとも顔には出していた。
そしてチラリと彼に視線をやった。

周囲の視線を集めた彼はいつも通りの言葉をいつも通りの無表情でいつも通りに深々とお辞儀をしながら言い放った。


「丁重にお断りさせて頂きます」


普通ならフラれたのだから諦めるのだろうが如何せん彼は色々と普通ではなかった為、フラれたとか諦めるという言葉を自分の辞書からすっぽりと抜いていた。
そして彼の無駄にポジティブな思考は彼をどうにも憎めない存在へと昇華させていた。


「即答する黒子っち、カッコいいっス!!好きっス!!大好きっス!!」
「……黄瀬君」


一人テンション高く騒ぐ彼、もとい黄瀬涼太を見て彼、もとい黒子テツヤは深い溜め息を吐き遠い目をした。
そしてそれを見ていた誠凛バスケ部の面々も深い深い溜め息を吐き遠い目をした。
これで今日の部活終わったな、と。





その後、直ぐに黄瀬のファンが体育館に押し寄せ練習どころではなくなり誠凛バスケ部カントク・相田リコは笑顔で黄瀬と黒子を体育館から締め出した。その時、黒子は火神や日向達に救いの視線を向けたのだが思い切り逸らされた。


「ボク、練習中なのに黄瀬君のせいで締め出されてしまいました。どうしましょう…」
「大丈夫っスよ、オレが居るじゃないスか〜」
「そのキミが元凶なんですよ」


黒子を抱きしめる黄瀬にイグナイトをかますが、それくらいで黄瀬が離れるわけもなく今も尚、満面の笑顔で黒子を抱きしめている。


「キミはいったい何がしたいんですか。ボクの練習の邪魔をしてボクを困らせたいんですか」
「困った顔の黒子っち見たいっス!でも困らせるのは本意じゃないし…あー、悩むっス!!このオレを悩ませるなんてもうホント黒子っちは小悪魔っスね〜」


黄瀬は抱きしめている黒子にグリグリと頬擦りをする。

黒子は思う。
残念だ。まさに残念だ、と。

モデルをやっている黄瀬は黙っていればイケメンなのに黒子を前にすると残念な言動しか目に付かない。


「キミはなぜボクに構うんですかね。キミならボクなんかよりもっとお似合いの方がいると思うんですけどね」


諦め気味に呟いた黒子の言葉に黄瀬は当たり前だというように言葉を返した。


「そんなの決まってるスよ。黒子っちがオレの運命なんスから!!」
「…キミは本当に相変わらずですね」
「それにオレに似合うとか関係ないスよ。ただ黒子っちに釣り合うのはオレだけってことスよ」


黄瀬は誰にも見せないような笑顔を黒子に向けた。
黄瀬は黒子と出会って人生が変わったと言っても過言ではない。それ故に黒子には並々ならぬ感情を溢れんばかりに注いでいる。
まあ、黒子は黄瀬の並々ならぬ感情をそのまま溢れさせたまま放置しているが。


「黄瀬君、ボクに気を使うなんてしなくていいんですよ。ボクはもうあの頃のままのボクではありませんから。だからキミも好きなように生きても大丈夫なんですよ」


黒子は黄瀬の頭を優しく撫でる。
何だかんだ言っても自分になついてくれる黄瀬に黒子は無意識に優しくなることもある。
それが黄瀬が黒子から離れられない理由の一つでもあるのだがそれを黒子は知らない。


「うん、そうっスね。でもね黒子っち。オレもう好きなように生きてるっスよ」
「…それもそうですね。言ったボクが馬鹿でした」
「ねぇ、黒子っち。今じゃなくてもいいから…いつかでいいからオレに…オレに黒子っちください」


後ろから抱きしめた黒子の腰にキュッと力を籠めた。そして黒子の首筋に顔を埋める黄瀬の声は少し掠れていた。
黒子は尚も黄瀬の頭を優しく撫でる。


「そうですね。今度の練習試合でキミのチームがボクたちのチームに勝ったら考えないでもないです」


黄瀬は勢いよく顔を上げその顔を綻ばせる。そしてまたキュッと黒子を抱きしめた。


「次は絶対勝つっス。だから…だから……」
「はい。黄瀬君、頑張って下さいね。じゃないとボク、いつまで経っても黄瀬君のものになれませんから」


黄瀬と向き合いあまり変わらぬ表情に少しの笑顔を浮かべ黒子は黄瀬の頬にキスをした。

その後、黄瀬も黒子にキスをしようとしたが黒子はいつものようにイグナイトをかました。
それでも笑顔で黒子を抱きしめる黄瀬の想いは変わることはないのだろう。





数日後、無駄にイケメンの彼は声高らかに体育館を響かせた。


「黒子っちください!!」










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黄→→→→←(←←)黒だとキュンとくる
20140128



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