非公開

□片思い!
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連れてこられたのはおしゃれなカフェテリア。

向かい側には柳くんが肘を突いて見つめている。


テーブルの上には、可愛いショートケーキ。



「あ、あの・・・これは・・・。」


「息抜きだ。」


「さいですか・・・」



柳君と、二人きりで、カフェ・・・。

どきどきと高鳴る鼓動は無視して、ケーキに手をつける。



「っ・・・おいしい!」


「それはよかった。」


「柳君は、食べないの?」


「あまり甘いものは得意じゃないんだ。」



柳君は、甘いものが苦手なのか・・・。



「・・・羽柴は、立海大には行かないんだな・・・。」


「本当は、このまま立海大に行きたいんだ・・・でも、親が・・・。」


「・・・そうか。」



紅茶を飲む。

ふわりと広がる香りに、何故か泣きたくなった。



「羽柴・・・」


「なぁに?」


「受験・・・頑張れよ。」


「・・・、うん・・・頑張るね。」



本当に、泣きそうだ。


でも、その一言だけで、頑張れる。



「ふっ、羽柴、頬にクリームがついてるぞ。」


「えっ?!どこどこ?」


「じっとしてろ、取ってやる。」


「ん。」



柳君の手が私に伸びてくる。


そして、その視線に心臓が跳ねた。


鋭く、透き通った、まっすぐな眼差し。

その先に、何か熱いものが揺らめいた気がして、
私はその視線に囚われる。



「っ・・・」



触れた指先が思ったよりも熱くて、一瞬びくりと反応してしまう。

すっと頬に滑らされた手、親指で拭われて、そのまま柳君の口にクリームは持っていかれた。


ん?持って行かれた?



「んっ・・・」



ぺろっ



「っ?!?!」


「やはり甘いな・・・ん?どうした羽柴?」


「なっ・・・何でもありませんっ///」


「そうか・・・。」



これが、無自覚とか、
本当に信じられない。





2、そのまなざしにとろけそう




(羽柴、連絡先を交換しないか?)
(えっ?!良いのっ?!)
(あぁ、勉強で分からないことがあれば、いつでも連絡してくれて構わない。)
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