非公開
□片思い!
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生徒会で、学年トップで、運動も出来て、顔も良い。
そんなあの人に、私は恋をしている。
「あー、全然終わらん・・・」
図書室にこもって勉強、勉強の毎日。
「外部受験なんて・・・くだらな・・・。」
せっかく立海大付属高校に入ったのに・・・なんで私受験のために勉強なんてしているんだろう・・・。
「羽柴?」
「っ!?」
突然後ろから呼ばれた自分の名前に、びくりと肩が跳ね上がる。
この声は、確認せずとも誰だか分かる。
低くて、頭の中を全部埋め尽くしてしまうような、甘い声。
「柳君・・・」
ゆったりと振り返って、
なるべく動揺を悟られないように注意する。
「勉強か・・・熱心だな。」
「私、外部受験だから、ね」
「そうだったな・・・」
外部受験なんてクソ食らえ・・・。
せっかく、この人と同じ大学に進めるというのに、私は・・・それを、たかが「親の夢」で潰されてしまうなんて・・・。
「どこか、分からないところがあるのか?」
「ぁ・・・えっと、ここなんだけどね?」
「これは、解釈が間違っているんだ。この文はこちらにかかっていて、作者の意図は・・・羽柴、聞いているか?」
「っ・・・うん、聞いてる。」
柳君が後ろから覗き込むようにして私のノートを見つめる。
綺麗な長い指が、文をなぞる。
大好きな声が、私のすぐ近くで分かりやすく説明してくれる。
「心此処に在らず・・・だな?」
「ご、ごめんっ・・・」
「いや、お前は少し勉強しすぎなんじゃないか?少しは息抜きも必要だと思うぞ?」
「息抜き・・・か」
どこに至って、息抜きなんて出来るもんか・・・。
学校では、勉強に追われて、
家では、親の期待に押しつぶされそうになって、
塾では、ぴりぴりした緊張感の中でひたすら閉じ込められる・・・。
「息抜きの仕方・・・忘れちゃった・・・。」
ぽつりとこぼれた言葉に、しまったと思った。
別に、彼に比べたら全然勉強だってしてないだろう。
彼はそれに加えてテニスも続けてるのに、私は何を言っているのだ。
本来ならば、息抜きなんてする必要もないような・・・そんな私が・・・。
「そうか、では、今から息抜きをしに行こう。」
「・・・・・・へ?」
間抜けな声を出した私に、
柳君は、とても綺麗に微笑んだ。
1、その微笑に目が釘付け
(・・・羽柴?)
(っ・・・ご、ゴメン、あの、息抜きって?)
(行ってからのお楽しみだ。)