非公開

□君は幼馴染み
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俺とかなたが付き合うことは、お互いに利益だと思っていた。


俺が傍に居ることを望むかなたと、
かなたを誰にも取られたくない俺。



14、俺とあいつを比べるな



「柳君・・・なんで?なんであの子なの?!」


放課後の教室、呼び出されてきてみたら、
ありきたりな告白と、

罵倒。


「何故、とは?」


俺はかなたを一人待たせているんだ。

はっきり言って機嫌はあまりよろしくない。


「だって・・・柳君は、学年トップで、運動神経も良くて、背も高くて、顔も良くて・・・
全てがそろってる人なのに、何であんな男みたいな女なの?!」


俺の特徴もありきたり。

あぁ、後でかなたにも聞いてみるか。


第三者から俺がどう見えていようが俺には関係ないが、
かなたから見た俺はどんな男なのだろう。



「あんなっ、頭も悪くて、」


別にかなたは頭が悪いわけではない。


「チビで、男みたいで」


昔から変わらない。


「いっつもへらへらしててっ」


それが彼女の生きる戦法だ。


「練習だって見に来ないしっ!!」


それは彼女の俺への配慮。


「なんであんなっ、可愛くも無い、綺麗でもない、何も持ってない子が選ばれるの?!」


かなたが本気で幸せそうに笑ったときの顔をお前は見たことがあるのか?

かなたが寂しいと甘えてくるときの消えてしまいそうな顔を見たことがあるのか?


何も持っていない?

はっ、笑わせる・・・。


「少なくとも、お前よりもかなたは可愛いし、綺麗だ。」

「っっ!!」


目の前の女は、絶望したように瞳を見開いた。

泣いて崩れた化粧。

自分の涙で化けの皮がはがれていく少女ほど醜いものはない。


「何も持っていない?そんなことは無い、彼女は俺の持っていない全てのものを持っている。」


彼女の世界は、俺の知らない些細な色まで見えるのだ。

全てが輝いて見える世界を彼女はその純粋な心に映すのだ。


「俺が、かなたに惹かれるのは、当たり前だ。」


時に無垢な少女であり、

時に、俺のデータを持ってしてもするりと逃げてしまう小悪魔。


「俺のデータが通用する範囲で生きているお前に、どう俺が興味を抱けと?」


とうとう女は床に崩れ落ちる。


「今後、俺とあいつを比べるようなことをすれば、」


ぎろりと睨みつけたら、女は「ひっ」と引きつった悲鳴を上げた。


「・・・この柳蓮ニが許しはしない。」





(蓮ニ遅ーい)
(すまない、少し面倒なやつに捕まっててな)
(女の子?)
(いや、ただの『悪い虫』だ。かなたが気にすることではない。)
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