非公開

□君は幼馴染み
4ページ/11ページ



蓮ニは、私には理解できないけどモテる。

それも、2年になって身長がぐっと伸びて、綺麗で可愛いおかっぱの髪をばっさりと短くした頃からだろうか・・・。



4、これで美少女だったなら



いつもの帰り道、私は幼馴染みを観察していた。

蓮ニのデータ収集癖が移ったわけではないけれど、なんとなく蓮ニの顔を見つめる。


「何だ?」

「んにゃ、随分イケメンに成長したなーと思って。」

「お前はどこポジションで喋っているんだ・・・。」


昔から頭はよかったけれど、
背はそんなに高くなくて、髪はさらさらで・・・

女の子みたいだったのに。


「昔は私の方が男前だったんだけどなぁ」


対して私は、昔っから髪は短くて、

男勝りで・・・身長は150cmで止まったけどな!!


「そういえば、髪伸ばさないのか?」

「蓮ニは長いほうが好きなの?」

「いや、見たこと無いからな・・・少し気になっただけだ。」


髪は、別にあまり気にしたこと無い。

緩やかなクセのある私の髪は、ショートにもってこいなのだ。

だからずっと短かっただけで、伸ばしても別に良いかな・・・とは思っている。


「あ、でも伸ばしたら服合わなくなるか・・・」

「いつも、男物だからな。」

「この前蓮ニのお母さんから、蓮ニが1年の頃着てた洋服貰ったばっかりだしなぁ・・・。」

「なんだと?」


ぽろっと零した一言に、蓮ニが凄い形相でこっちを見るものだから、数歩下がる。


「え、何聞いてないの?」

「聞いていない。はぁ・・・何を考えているんだか・・・。」

「いいじゃん、どうせ蓮ニもう着られないんだから。」


って、そんな話はどうでもいいんだった。


「なんか、蓮ニと私ってバランス悪いよね。」

「またお前は・・・何を根拠に?」

「だって、方や頭脳明晰・文武両道。高身長でテニス部レギュラーモテモテ男子じゃん?」


昔はもうちょっと近かった。


「私は、平平凡凡の男勝りな、特に目立たない一中学生じゃん?」


それは、蓮ニの成長なんだろうけれど、


「蓮ニの隣に立って帰ってるの、なんか凄い不思議に思ってさ。」


これで私が、


「誰もが目を見張るような、そんな美少女だったら・・・バランスいいのかなって」


なんて。


今更変わることでもないんだけれど。


「って、蓮ニ?」


隣を見たら、蓮ニが居なくて、振り返ったら、ちょっと離れたところで立ち止まってた。

私なんか変なこと言った?


「かなた、」

「んー?」

「俺は、今も昔も、お前は可愛いと思っているぞ?」


蓮ニらしくない言葉に、
珍しく私が『鳩が豆鉄砲を食らった』ような顔をしてしまった。


でも、蓮ニが至って真面目に言ったことに気が付いて、
とたんに嬉しくなる。


「ははっ、ありがとう!蓮ニ!!」






(いつになったら、本当の意味に気づいてくれるんだろうな、お前は。)
(なんか言った?)
(いや?)
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ