非公開

□変態に恋されてしまいました
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壁に追い詰められて、

火傷してしまいそうなくらい、熱のこもった視線に囚われて、


あぁ、こんな瞳から逃れるなんてのは、

最初から無理な話だったんだと、絶望しながら喜びに震えている自分が居た。




4、食べちゃうぞが冗談に聞こえません




結局、特に何が変わるわけでもなく、

私は蓮ニ先輩からのセクハラを受けて、

私はそれに抵抗しつつも、勝てるわけがない・・・

なんて、続けていたら、いつの間にか10月も終わりだった。


「かなたー、トリックオアトリート!!」

「はい、飴ちゃんです。」

「げ、何でもってるんぜよ・・・。」

「蓮ニ先輩が明日は必ずお菓子を持っていろって言うから持ってきてみました。」

「参謀め・・・いくらかなただからって過保護すぎぜよ。」

「え、あれ過保護なの?」


大量の飴の袋をカバンに突っ込んできた。

よって、誰に会おうとも悪戯はされずにすんでいる。


さて、問題は本日の柳蓮ニである・・・。


「今日は、ぎゃふんと言わせたる!!」

「かなたちゃん、喋り方違うよー」

「うん、知ってる。」


打倒柳蓮ニ

いや、なんで倒すんだ?


あぁ、この頃蓮ニ先輩のせいで変態が移ってきているからか・・・。


「かなたっ、トリックオアトリート」

「あぁ、丸井先輩。柳生先輩も連れて着たんですか?はい、飴です。」

「げ、ホントに持ってるし・・・柳の入れ知恵だなぁ〜」

「私は馬鹿ポジションですかっ?!ちょっと悲しいですよ!!あ、柳生先輩もどうぞー」

「あ、ありがとうございます。すいません、2年生のクラスに行くなんてやめましょうといったんですが・・・。」

「それを・・・あの柳蓮ニに言ってやってください・・・。」


あの人昼休みのたびに私にセクハラしに来るから、もうクラスでもお馴染みだよ!!


「ほぅ?先輩をフルネーム呼び捨てとは、いい度胸だなかなた。」

「あ、でた。」


どこから入って来たのか、私を後ろから抱きしめる参謀柳蓮ニ・・・。


「なーんか・・・かなた、柳に慣れたよなぁ」

「なんですかそれ、凄い嬉しくない。」

「む、新しい刺激が欲しいと・・・」

「黙れ変態。ほら、いい加減にしないと、いろいろ勘違いされますよ。もう手遅れだろうけど・・・。」

「勘違い?」


え、何この人知らないのか?

あのデータマンの蓮ニ先輩が?


「え、知らないんですか?私と蓮ニ先輩、もう学校内では付き合ってることで話が尾ひれ付いて噂になってますよ?」

「あぁ、そのことか。」


そのことかって・・・


「は?ってかお前らまだ付き合ってなかったの?」

「ちょっとまった、丸井先輩『まだ』って何ですか『まだ』って!!」

「いや〜・・・俺も、もうとっくの昔に付き合ってると思ってたぜよ・・・」

「僕も、ずっと付き合っているのだとばかり・・・」


まじか・・・


「ふっ、策略どおりだな。」


いやいやいや、後輩を後ろから抱きしめながらかっこよく言ったって無駄だから!

いや・・・そりゃ、ちょっとときめいたけれど!!←


「この柳蓮ニの彼女だということ(噂)が広まれば、そう簡単に手は出せないだろう?」

「可愛い後輩の甘酸っぱい青春奪わないでください。」

「可愛いかなただからこそ虫除けしておかなけれならないんだ。そう睨むな、可愛いだけだぞ?」

「っっ///」

「「はい、梨駈の負け〜」」

「黙ってくださいプリガムレット・・・
あ、間休みもう終わるじゃないですか、ほら、皆さん教室に戻ってください、授業遅れますよ。」

「「「「ダッシュすれば間に合う」」」」

「柳生先輩まで言わないで、お願いだから・・・。」




そんなこんなで、
放課後。


今日からテスト2週間前だから、部活は停止されている。


「すまない、待たせ・・・なんだその格好は。」


生徒会の用事で、教室で待っているように言われた私は、

ある作戦の準備をしながら教室で大人しく待っていた。


「蓮ニ先輩、ハロウィンはお菓子と仮装ですよ、やっぱり。」

「それで・・・うさ耳か・・・」


ぶっ・・・蓮ニ先輩から『うさ耳』とか、めっちゃうける。


「先輩、Trick or Treat?」

「・・・ふっ、くくっ・・・これはやられたな・・・。」


私の作戦は、先輩のデータを上回る斜め上の発想大作戦だ。


と、言っても、

いつもひっつめている髪を解いて、真っ白なうさぎ耳のカチューシャをつけているだけだけど。


「あいにく、お菓子は持っていないんだ。で?どんな悪戯をしてくれるんだ?」


あぁ、蓮ニ先輩はどこまでも余裕だなぁ・・・。


「はい、これつけて先輩!」


カバンから出した猫耳を、蓮ニ先輩の頭に背伸びして付ける。

うん、先輩は黒猫っぽい、似合う可愛いww


「じゃぁ、悪戯!先輩こっち向いてくださいっ」


ちょっと照れたように笑う先輩なんてレアだ。

3枚ほど写真を撮って私の悪戯は終了。


「さ、では次は俺の番だな。」


あぁ、お菓子はカバンの中に入ってる。

「トリックオアトリート」と言われたら、落ち着いて飴を差し出せばいいのだ。


「かなた、Trick or Treat?」

「・・・は、はいっ、飴ちゃんです!」


渡した飴は、私の大好きなイチゴ味。


蓮ニ先輩ってば、猫耳つけたまま小さな袋を綺麗な指先で開けて、

赤い飴玉をつまむ。


「っむぐっ!!?」


そしてそのまま、私の口の中に押し込んだ。


何で?どういうこと?!


「かなた、一つだけ教えてやろう。」


そっと窓際に追い詰められて、

開眼した鋭い瞳に囚われる。


綺麗な手が、カチューシャを首に下げて、

私の頬を撫でる。


「俺は、猫じゃない・・・狼だ。」


親指で唇を撫でられれば、

甘いイチゴ味のキャンディーの味なんて分からなくなる。


「だから、お菓子をくれなきゃ、お前を食べてしまう・・・さぁ、どうする?」

「っっ//」


熱い視線から逃れるように、先輩を思いっきり突き飛ばして、カバンを引っつかんで兎のごとくその場から逃げる。


「はっ・・・はっ・・・」


駄目だ、流されちゃいけない、

相手は我らが参謀・柳蓮ニだ・・・。

騙されちゃいけない、

彼にとっては、お遊びの延長線でしかないのだから・・・。


「しょーもな・・・私・・・。」





おまけ

「なんじゃ、参謀。仕掛けておいて、顔真っ赤ぜよ」

「・・・仁王か・・・。」

「どうも・・・かなわないな、彼女には。」

「参謀・・・いいこと教えちゃる、
ちょいと耳貸しんしゃい」

参謀に悪魔の入れ知恵をしたとかしてないとか・・・。
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