非公開
□変態に恋されてしまいました
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私の趣味は、テニスとお散歩と写真。
夏休みに入って、初めてテニス部が休みの日。
私はひまわり畑に行こうって予定を立てていた。
そう、立てていたのに・・・。
2、盗撮が犯罪って知ってますか?
「休みは空けておいてくれ。」
「嫌です。」
「応えは『はい』か『Yes』しか認めない。」
「予定があります!」
「気にすることは無い。」
「いや、意味分からないです!!」
そんなこんなで、
私のお休みはあっけなく奪われた。
だって、これで待ち合わせ場所に来なかったら、
何時間だって私を待っているのが、柳蓮ニという男だと、私は知っている。
「オハヨウゴザイマス・・・。」
「あぁ、おはよう。データどおりだな。」
「さいですか・・・」
ちなみにどこに行くのかは知らない。
麦わらのカンカン帽に、真っ白なノースリーブのワンピース。
カバンの中にはカメラが入っている。
楽しみで、ひまわり畑にはぜったいにこれを着ていこうと思っていた服で来た。
私なりの、抵抗だ。
「そう不貞腐れるな。せっかく可愛いのに台無しだ。」
「っ//」
蓮ニ先輩が、困ったように笑って私の頬を撫でる。
そんなことされたら、どぎまぎしてしまうではないか!!
でも、相手はあのセクハラの先輩だ・・・
意識しちゃいけない、相手にたら思う壺だ・・・
冷静に、冷静に、
そう、冷静にぺちっ、と頬に触れてる手をはたく。
「ふっ、一筋縄じゃいかないな。では、行こうか。」
手を握られて、やっぱり困惑・・・。
乗ったことの無い電車に乗って、
目的も分からずにガタンゴトンと揺られる。
「先輩、どこに行くんですか?」
「ついてからのお楽しみだ。」
「さいですか・・・」
「20分ほどで付く、眠いなら肩を「いりません。」
ため息をついてしまいそうだ。
せっかくの休み、
楽しみにしていた休み、
まぁ、別に誰かと過ごすってわけじゃなかったけれど、有意義な休みにするために、
此処一週間は色んなことを考えてた。
「かなた、降りるぞ?」
「はぁーい」
こうなったら、もう付き合うしかない。
あの過度のスキンシップさえなければ、私はこの先輩が好きなのだ。
文武両道、背も高く、顔もいい。
私の持ってないものを持っている。
だから、不思議でならない、
蓮ニ先輩が、私に構う理由が。
「かなた」
「はい、何ですか・・・って、ここ」
「羽柴かなた、趣味・テニス、散歩、写真・・・今年初めての夏休みで、今日が初めてテニス部が休みの日だ。
お前が、自分の趣味に時間を費やすのでは、と思ってな。」
蓮ニ先輩が連れてきてくれたところは、
大きな公園の一角でやっている、ひまわり畑だった。
「私、近所のひまわり畑に行こうと思ってたんです。」
「そうだったか」
「でも、ここ、もっと広い!!先輩、連れてきてくれてありがとうございます!!」
「いや、喜んでくれて何よりだ。」
カバンからカメラを取り出して、ひまわり畑を進んでいく。
楽しい、楽しい、楽しいっ!!
「かなた、こっちを向いてくれ。」
「え?」
カシャッ
「わっ、先輩写真!!」
「ふっ、油断禁物、だな?」
「ちょ、消してくださいよ!!」
先輩からカメラを奪おうとするが、
先輩がちょっと腕を上げるだけで、私は手が届かない。
「今日は、たくさん写真を取れた、今度よく撮れているものをお前にもやろう。」
「なっ!?先輩あれ以外もとってたんですか?!」
「この柳蓮ニに抜かりなし・・・」
「きめ台詞言ってる場合じゃなーい!!」
ジャンプしてみても、蓮ニ先輩の持っているカメラに届くはずも無く、
少し疲れてしまったので、もうあきらめることにした。
だったら、私も蓮ニ先輩を撮ってやろうとカメラを構えようとしたら、ちょうど気持ちのいい風が私と蓮ニ先輩の間を駆けていった。
その瞬間、私は迷うことなくシャッターを切る。
「ん?なんだ、かなたも盗撮か?」
「・・・真正面から撮っているので盗撮じゃありません!
ってか、盗撮って自分で言っちゃってるし!」
「む、」
あぁ、綺麗だった。
風に流される綺麗な髪とか、
それを抑える綺麗な手とか、
向日葵の花びらに、青い雲、真っ白な空・・・
「カップルで写真が趣味なんて、素敵ですねー。もしよろしかったら、一枚お撮りしましょうか?」
向日葵園のスタッフだろうか、
黄色いパーカーを着た女性が話しかけてくる。
「あ、あの、私達別に付き合っているわけじゃ・・・」
「あぁ、本当ですか?お願いします。」
「って、蓮ニ先輩っ!」
いつのまにかカメラを渡している蓮ニ先輩に、腕を引っ張られて、腰を抱き寄せられる。
「ほら、かなた笑って?」
どきどきして、そんなことできるか!って思ったけれど、
嬉しそうにピースする先輩が可愛かったから、
私も楽しくなって、満面の笑みでピースした。
「今日は、楽しかったか?」
「はいっ!とても素敵な休日でした!!」
「そうか。」
電車に乗って、先輩の隣に座ったら、急に眠くなって・・・。
「かなた、眠いのか?」
「ん・・・ダイジョブ、です・・・」
「送ってやるから、寝てろ。」
頭を抱き寄せられる。
あぁ、蓮ニ先輩の匂いだ・・・。
いつの間にか、触れられるくらいの距離に先輩が居るのが当たり前になってて、
気づいたら安心しきって眠っていた。
おまけ
「かなた、写真現像したぞ?」
「え、あ、ありがとうございます。」
なんか・・・多くないか?写真。
「俺の中で、よく映っているものを30枚ほど・・・」
「と、盗撮は犯罪です!!」
「それならお前だって「わーわーわーっ、黙って!!」
「む、」
ちょっと見直したとか、
私のきっと勘違い。