非公開
□羊に恋する
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羊に恋して(深司)
「あー羊年だなぁ〜」
「そーだね。ま、君は羊なんて柄じゃないけど。」
「深司・・・それ、どういう意味??」
二人で向かうは初詣。
まぁ、彼女の目的はどちらかというと初詣の出店みたいだけど。
「わぁ・・・深司、人いっぱいだな・・・」
「流石にはぐれたら合流できなさそうだね。あーめんどくさいなぁ、かなたはサイズだけは可愛い羊だもんね、しかたないなー」
「深司・・・一言多いし羊は思ったよりもでかいから、って・・・この手は何?」
俺が差し出した手を指差して、訝しげに俺を見上げるかなた。
「何って・・・それくらい分かるでしょ?君、本当に俺の彼女なの?」
「か、かのっ//」
「そこ、照れるところ?」
未だに俺の彼女っていうポジションになれないかなたの手を、半ば無理やり引っつかむ。
「ふぁっ?!」
「もっと可愛らしく叫んで。そして煩いから叫ばないで。まったく迷惑だなぁ・・・。」
「ぅっ・・・だ、だって、とととと、突然、手なんて繋ぐからっ//」
声、裏返ってるし・・・。
あーもう、こういうところ可愛いとか思ってる時点で、俺は随分彼女にハマってるみたいだ。
「もう何度も手なんて繋いでるでしょ?いい加減慣れてくれよ・・・それに、」
繋いだ手を引き寄せて、耳元で小さくゆっくりと、心から愛と悪戯心を込めて囁く。
「その先だって、もう何度だってシてるでしょ?」
「っっ?!!/////」
ぼんっと音が出そうな勢いで赤くなる彼女を横目に、歩き出す。
早く行って、彼女と出店を回って、家に帰ってゆっくりしよう。
そんなことを考えてたら、繋いでいるほうの腕にとんっと小さな衝撃。
「深司の・・・バカ・・・//」
「・・・赤い顔で言ったって、痛くも痒くもないよ。」
「〜〜〜っ///」
そのまましばらく歩いていくと、更なる人ごみ。
「あっ!深司深司!イカ!イカ食べたい!!」
「お参りしてからね。ほらいくよ。まったく、なんでこう手がかかるかなぁ・・・俺の彼女は。」
「深司っ、りんご飴!!」
「わかった、わかった。」
そんなこんなで、お賽銭を投げる。
願うことは、今年も彼女と楽しく過ごせるように。
中学生の頃の俺には考えられないような願い事。
「深司はどんな願い事したの?」
「秘密。」
「えー、けち。」
「そういう君は?」
「んー・・・深司と笑って1年過ごせますようにって。」
「・・・ふーん・・・。」
「ちょっ、何さ今の間は!!」
あーあ、煩いなぁ・・・。
でも怒った顔でさえも可愛い。
「深司りんご飴!!」
「わかったわかった、ほら走らないで、はぐれても知らないよ。」
「大丈夫!深司がすぐに見つけてくれるもん!」
「まったく・・・探すこっちのみにもなって欲しいよ。でも、そうだなぁ・・・」
どんな人ごみに君が埋もれてしまおうが、
必ず見つける自信はある。
「深司早く!」
だから、君は好き勝手に、自由に、走ればいい。
「ほら、転ぶよー。まったく俺の彼女は、本当にお転婆な羊だ・・・。」
走り回る羊を追いかけて始まる新年。
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あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
管理人 瀬戸梨駈