非公開
□最初からそんな感じだった
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好きだと言われたから、付き合った。
愛していると言われたから、そのまま言葉を返した。
でも、きっと、これ間違ってるよなぁ・・・。
1、プラスマイナスゼロ、じゃなくて寧ろマイナス。
「ねぇ、深司君、今日の放課後空けてよ。」
「あのさー、なんで俺が君のために時間を作らなきゃいけないわけ?ていうか、普通に部活だし。」
付き合って2ヶ月。
いつだって彼女は我侭だ。
よく2ヶ月も持っていると、自分を褒めてあげたい。
「何で深司君が私のために時間を作らなきゃならないのは私が貴方の彼女だから。
それと、部活が終わってからでいいから。」
「じゃぁ、何のための時間?」
「駅前の雑貨屋さんに買い物に行きたいのっ!」
ぱぁっと明るく笑う。
彼女のこの顔は、嫌いじゃない。
「一人で行けば良いでしょ?」
「嫌よ、私深司君と行きたいんだもの。」
不貞腐れたように唇を尖らせてる顔も。
「しかたないなー・・・部活の後ってただでさえ疲れてるのに、俺のこともちょっとは考えて欲しいよ、全く・・・。」
「ぼやかないでよ、可愛い彼女のお願いでしょ?」
俺のぼやきにも傷つかないで、いたずらっ子のように笑うこの顔も。
「かわいこぶってる彼女の我侭ね。」
「なっ?!ぶってるってなによっ、もうっ!!」
背中をばふっと叩かれる。
「はいはい」なんて適当に返しながら頭を撫でてやれば、
すぐに赤くなって俺から眼を逸らす。
「黙ってれば可愛いのに。」
「かっ、可愛くなくて結構よっ!!」
「赤い顔で言ったって、信憑性無いよ。」
どんなに冷たい言葉をかけたって、
素直じゃないけど、本気で怒ったりしない。
始まりは間違ってたかもしれないけれど、
なんとなく、彼女に惹かれていく俺が居る。
「6時までに来なかったら部室に乗り込んでやるんだからっ!!」
「はぁ・・・本当に我侭だなぁ・・・」
「彼女の特権よっ!」
でも、それにしたって彼女の俺を振り回す我侭は、
プラスマイナスゼロを大きく通り越して、マイナスなのは・・・どうにかならないのだろうか・・・。
(ねぇ、右手が空いてるんだけど?)
(じゃぁ、俺のカバン持つ?)
(何でそうなるのよっ!普通は、こうっ・・・こう・・・//)
(ホント、黙ってれば可愛いのに・・・。)