先輩のワタシ。

□ピアノの彼
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奏は昔から歌もピアノも達者だった。








早乙女学園を卒業後、鮮烈なデビューを飾った彼女といつか一緒に仕事をしたいと思っていた。



彼女の父親は聖川系列のグループに所属し、年も近いということで幼い頃から家同士で交流があった。

彼女の両親は偏った思考をするような親ではなく、小さい頃から公立の学校に通わせ、所謂箱入りではなかった。

パーティーに参加したことのなかったため、神宮寺レンとも面識はなかった。


音楽に迷ったとき、人生の岐路にたったとき、彼女の両親は「悔いのないよう生きなさい。人生は一度きりだから。」後押しし、無事に早乙女学園の入学を果たした。

徐々に活躍の幅を広げる奏。
テレビで見掛ける機械も増えた。


少しずつ確実に広がって行く差に焦燥感を覚えた。





後輩としてはだが、この世界で彼女に会えたことが嬉しかった。








奏とこうして話すのはいつ以来だろう。



小さい頃が懐かしかった。





たわいもない話と奏の声がレコーディングに響いていった。



「蘭丸は?どう?」






「黒崎さんはなかなか気難しい人のようだ。めんどくさいと、ロックでないの、一点張りで指導というのはどうにも。まだまだ認めてもらうには時間がかかりそうだ。」





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