先輩のワタシ。
□初めましての彼
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一瞬のことだった。
アイドルとしてではなく、一人の作曲家として奏でる音楽はそこにいる全員を彼女の音の虜にするには十分だった。
「す、すごいです!!美南さん!!miiizさんの曲私とっても大好きでずっとずっと憧れていたんです。まさかこんなところで会えるなんて。しかも指導してもらえるなんて。」
春歌は相当興奮しているのだろう。矢継ぎ早にそして前のめりになっている。
「素晴らしかったです。奏さん!先ほどは失礼なことを言ってすみません。音の全てが綺麗でそれでいて繊細で感動しました。」
「いいよ。私気にしてないし。それにこの世界いたらなめられることなんてしょっちゅうだからね。言うじゃない。目には目を。歯には歯を。実力には実力を。なんてね。私普段褒められ慣れていないから、こんなイケメン達に褒められたら照れるよう。」
火照る顔とにやけてしまう頬を、両手でおさえる作曲家でありアイドルの彼女。
その顔は嬉しさでいっぱいだ。
トキヤも春歌も奏の笑顔によって、顔が上気して高揚しているのが見てとれる。
アイドルとして活動してる奏だが、こういう仕草を当たり前のようにやってしまうの
だ。
「翔ちゃんさっきからお顔真っ赤ですよ。」
「ううううううるせえ。那月。」
「やあ。レディさっきは失礼したよ。」
レンが他のメンバーを制するように奏の腰にするりと手をまわしてきた。
「おおおおい。こらレン。お前先輩になんてことするんだよ。」
「なんだい、おチビちゃん。先輩ではあるけど俺が愛を囁くのは自由だろう。」
嶺二のいつもの抱き着きで耐性がついたのか、みなみはするりとレンの腕からすり抜けた。
藍と嶺二が守るように奏とST☆RISHの間に入る。
蘭丸は持ち前の鋭い眼光でギラギラとレンを睨み付けている。
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