先輩のワタシ。
□お揃いの彼
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彼女は持ち前の明るさで、事務所の人間とよく話す。
笑顔を見ると安心するし、声は耳に心地好い。
後輩に慕われて、先輩には、可愛がられて。
同期にも、信頼されている人気アイドル。
スタッフにも気配りが出来、画やアングル、立ち位置を考えて常に行動している。
デビューしたばかりの音也にとっては、華奢ながらその背中は大きく、大きく見えた。
早乙女学園に入学し、アイドル志望の生徒たちと常にいたため、周りを見渡せば、整った顔。
その中でも奏は特別綺麗だと感じた。
「激辛とかありますよ。」
「うわー。私辛いのダメ。甘口にする。」
音也は本日のカレーとナンのセット。
奏はバターチキンカレーのサラダとスープ、プチデザート付のランチセット。
今回の撮影も滞りなく進んでいるのは彼女のおかげだろう。
当たり前だ、まだ駆け出しの7人とは違う。
厳しい芸能界を生き抜いている先輩である。
歌も、ダンスも、曲も、今の7人ではではまだまだ追い付くことはできないだろう。
「なんかね、奏さんってイメージと違ったなあ。最初ふわふわしてる感じなのかなあって思ったけどちょっと違うし。もっと厳しい人かと思ってました。」
「ひどいねー。この後輩。しかも正直。目の前で先輩に言っているし。あはは。」
「いやっ。そうじゃなくて。ギャップというか。最初会ったときはちょっと怖かったというか。」
「ふふ。よく言われる。それに最初だからこそだよ。最初に先輩っぽいとこ見せておかないとね。やっぱり上下関係厳しいところだから、きちんとしないといけないけど、それなりの実力がない人なんて敬えないでしょ?」
慌てて弁解する音也が面白くてつい奏は意地悪な口調になってしまう。
甘口ではあるがカレーが思いの外、辛くグラスへ手が伸びる。
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