おお振りでお題に挑戦
□01.大きさ比べ
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手を繋いだりすると、阿部の手の大きさがよくわかる。
「阿部ー」
昼休み、目の前でお弁当を食べている阿部に呼び掛けると、箸は止めずに目だけで「なんだ」と言ってきた。
「手ー」
「……は?」
右手を差し出すと、さすがに箸を止めて怪訝そうな顔になる。
「大きさ比べしようよ」
「意味わかんねぇ」
「……阿部ー…」
「………コレ食ったらな」
なんだかんだ言っても大抵のことは聞いてくれる阿部は、優しいと思う。(いや、そんなわがままなんて言わないけれど)
この前水谷くんにそう言ったら全力で否定されたけど、優しいんだ。スゴく。
そして阿部のそんなところが大好きなんだけど、恥ずかしくて言えるわけない。
いろいろ考えている間に阿部はお弁当を食べ終わって、最後にパックジュースで口のなかを空にした。
「どっち」
「え、あ、じゃあ右手…で」
「ん」
改めて比べてみると、結構大きさは違っていた。
「うわ、お前ちっちぇなー」
「うわぁ…結構ちがうもんだね…」
関節一個くらい違うだろうか。
阿部の手は私のよりゴツゴツしていて、男の子って感じだった。
「すごいなぁ…」
「何が?」
「野球やってるって感じ」
「…まぁ実際やってるし」
そこまで話したところでチャイムが鳴り響く。
「うわ…!次移動だっけ…!?」
「…確か移動だな。行くぞ」
「待って待って、今行くー」
私の言葉が聞こえているのかいないのか、阿部はどんどん行ってしまう。
焦って後を追うと、少し行ったところで待っていてくれた。
やっぱり阿部は優しくて、かっこよくて、大好きだなぁなんて思いながら、まだ阿部の手の感触が残る自分の手をくっと握った。
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07.12.21