アカネイア&覚醒&if短編

□いい歳こいて
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いつも、うまい具合にかわされちゃう。
好きってアピールしたいのに、その前に逃げられちゃったり。
あるいはアピールを始めたらはぐらかされるとか。
理由を付けてクッキーを焼いてみたりしたときも、子供扱いしてかわされたのは記憶に新しい。

「ねぇグレゴさん、剣の使い方教えてよ」
「なーに言ってんだぁ。俺の戦い方は人に教えるようなもんじゃねーっつぅの。
ていうかお前さん、魔道士だろうが」
「ぶぶー、実は昨日ダークナイトに転職しました!」
「ぶふ!」

自慢げにそう報告したら、なんかグレゴさんは吹いてしまった。
なんでかな?

「グレゴさん、どしたの?」
「いいや、なんでもねぇよ」
「ふぅん?」
「ま、わりぃが俺は用事があるからな、またな」

グレゴさんはなんだかあわてた様子で言って、私の頭をぐしゃっとなでてから行ってしまった。
また子供扱いされちゃった。
グレゴさんになでられるのは嫌いじゃないけど…やっぱり子供にしか見られてないのかな…?うーん、悲しくなってきた…

そんな感じのある日、近くの村に屍兵が発生した。
その地区は私の担当だったからさっそくダークナイトの力を試してやろうと意気込んだ。

「よしっ、頑張るぞ〜!」
「いや、まってくれ」
「あり?みすたぁクロム!」
「お前は行かないでくれ」
「えー!なんでよ!私じゃ力不足ってわけ!?」

不満をぶつければクロムはぶんぶん首を横に振った。

「いや…ま、まだダークナイトに慣れてないだろうし…」
「割と頑張って訓練したし」
「…」
「ちょっと!なんかあるなら言いなさいよ!」

クロムは盛大にため息をついた。
なんだ、私が悪いみたいじゃないか。

「…クロム」
「わ、わかった。…実を言えばグレゴに止められたんだ」
「グレゴ…さん…?」
「ああ、それが…」

グレゴさん?…もしかしてまた私を子ども扱いしてるのかな。確かに私は、グレゴさんみたいな大人からしたらガキかもしれないけど…。
でも、戦場でくらい認めてくれたっていいじゃない…!

「それでだな…」
「っ…グレゴさぁあぁんどこじゃぼけぇぇええ!」
「ちょ、ルフレっ…!」

城内を走り回ってグレゴさんを探しまくった。いくら好きなひとでも容赦はしない!
食堂に飛び込むと、そこにお目当ての彼がいた。

「グレゴさん!」
「ルフレっ…ってなんだその格好は!」

先に反応したのはヴェイクの方だった。
てかなんだその格好って言われても…

「ダークナイトの正装だけど」
「いや、ダークマージとはまた違ったエロさだと思って」
「……エロ…い…?」
「てかお前、あれだな!結構あるんだな!」
「なにが」
「決まってんだろー、胸だっつの」
「……死ねぇえ!」

ヴェイクのあり得ない発言につい殴りかかった。
だって私は正装をしているだけなのに、なんて心外な…!
でも拳はヴェイクではなく、別の手に受け止められた。

「…グレゴさん」
「あー…まぁなんだ。ちょっと来いや」
「いいですよ!きっちり聞かせていただきますからクロムの言っていた事について!」
「うっ…」

グレゴさんに当てられている部屋(現在はイーリスにいるのでそれぞれ小部屋が与えられている)は、いつ発ってもいいような部屋だった。荷物は端にまとめられていて余分なものがない部屋だ。

「さぁグレゴさん!覚悟し――」

ダンッ!!

私が言い切る前に、耳元ですごい音がした。ただ驚いた。私は壁沿いにいて、目の前のグレゴさんがたたいたのは私のすぐ横の壁だったから。

「グレゴ…さん?」
「ふぃ〜、ちょーっと危機感もってくれねぇとな」
「き、危機感ってグレゴさんは敵じゃないし…」
「あ?聞いたことねぇか?男はみんなオオカミってよ」
「なに親父臭いこといってんですか」

て、てかその手をどけてくれないかな。
ちょっと、近いんですけど。
心臓つぶれそうなんですけど。

「いいかー?男ってのは単純だから、あーんま肌をさらけ出されるとこう、我慢できなくなっちまうんだよ」
「…そういうもの?」
「そういうもんだ。現におじさんの心臓もつぶれそうだからな、まったく」

少しおどけて言うグレゴさんに、私は言った。

「それは、私がこの格好だから心臓つぶれそうなの?
いつもの格好なら何も感じない?」
「…ルフレ」
「私はね、グレゴさん。私も今心臓つぶれそうなんですよ」

グレゴさんは、つぶれそうなの今だけですか?って、そう聞いたらため息つかれちゃった。

「お前さんは本当に困ったヤツだな」
「嫌いですか?」
「どうなってもしらねぇぞ〜」

ぎゅって、恋人にするように抱きしめられて本当に心臓破裂しちゃいそう。

「せーっかく我慢してきたのにな」
「我慢しなくて良いです。
はい!ちゅー!」


 与えられた口付けは、何よりも甘く。




あとがき
なんか結構前に書いてあったのを見つけたのでのせましたけど、自分で読んでも恥ずかしかったよね←

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