アカネイア&覚醒&if短編

□アシュラが指輪を買いに行くようです
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*いふはマイキャッスルで買い物がすべてすんでしまうのですが、それだとちょっとやりにくいのでどこかの城下町みたいなところで買い物をしています。
話全体的に進軍中になにしてんの!?ってかんじなんですけど、そのへん気づかぬふりをおねがいします…


コウガ公国再建の夢は、孤独な道のりだと思った。いままでの罪を償うためにも一人でやりきるつもりだし、このような自分に手を貸すものがいるとも思っていない。
居なくて良いのだと思っていた。
そんな少し前までの孤独な自分が、今はひどく滑稽に思える。


君に想いを馳せる


アシュラは、一人にぎやかな街を下っていた。なぜ用もなく街に繰り出したかと言うと、カムイから逃げてきたのである。
いや、別段追いかけられているわけではないのだが…。
 どうやら、彼女は久々に時間が空いたので皆にの手伝いをするようなのだ。

「いつも助けられていますから、今日は私がみんなのお願い事を聞くんです。
アシュラさんも何かありますか?」

なんのたくらみもない顔でカムイがそう言ってきたとき、アシュラは面くらったものだ。
それと同時に、どうしてよいかわからず「いや、今日は用事があってな」と言ったのである。
それを事実にすべく町に来たはいいが、用事などあるわけでもなく彼はぶらぶらと人ごみに紛れて歩を進めている。

今頃は、誰かのお願い、とやらを聞いてやっているのだろうか。
それを想像してみて、なんだかもどかしいような、すこし腹立たしいような気持になってアシュラはあわてる。
気を抜くとすぐにこうだ、最近どうやら自分はカムイに想いを寄せているらしい。
アシュラは今まで苦労してきたとはいえ、軍の者の中では年長者の部類に入る。
そんな彼が、この想いが恋心であることに気が付かないはずがない。
抱いてはいけない想いだと言い聞かせても、彼女と居れば心が温かいし、ずっと一緒にいたいと願ってしまう。

「俺の、願い…か……」

アシュラの願いはコウガの再建。
だがもしカムイに願うことがあるとすれば、それはきっと――。

ふと、視界の端にアクセサリー店が目に入った。
外にもいくらかアクセサリーが並べられており、その前や店の中には、腕を組んだ男女が何組かいる。
その様子がどうにもまぶしくて、思わず立ち止まってしまう。
もし、あそこにいるのが自分とカムイならば。

「おきゃくさん!悩むなら店にはいっちまいなよ!」

急に声を掛けられ、アシュラははじかれたように顔を上げた。
そこには人のよさそうな男がいて、どうやら店から出てきたところらしい。
これはもしや、店員か。

「ほらほら、入った入った」
「え、や、あの俺は……」
「遠慮しなさんな!」
「う、うそだろオイ…」

アシュラは店主の怪力に負け、店に入ることになったのだった。
店の中には様々なアクセサリーが置かれていた。店主はと言えばアシュラを店に引き込んだことに満足したようで、無理に商品を勧めるようなことはなかった。
アシュラはほっと溜息をついて、とりあえず一回りして出ようかを歩きだす。
外から店を見た時に見えた男女がいるのは、ネックレスや腕輪の置き場で、指輪の置き場には何人かの男が一人で品定めをしていた。
婚約指輪でも買うつもりなのだろうか。
男たちはううん、と不安そうに悩みながらも、やはりどこか幸せそうだ。

アシュラは想像してみる。
自分がカムイに指輪を渡したら?
それはあまり想像できない。
だが彼女ならば受け入れてくれるのではないかと言う甘い期待がよぎり、アシュラは考えるのをやめた。

そんなはず、ないのに。

彼女は誰にでもああやって寛大な心を開くのだ。
けれど、溢れ出しそうな自分の想いを、物に封じ込めておくことだったら、可能だろうか。
絶対に渡す日の来ない指輪持つことで、どうしても諦めきれないこの気持ちが、諦めにつながるかもしれないと。

「まいど!」

買い上げた指輪には、彼女の瞳と同じ、赤い石がはめこまれている。
アシュラはそれを手に握って、町を下って行った。

この指輪が諦めになど繋がらないと、心のどこかで理解していながら、気付かぬふりをして。



あとがき
からの支援Sでアシュラはカムイのなんだか期待しているようなそぶりに我慢できなくなってこの指輪をわたすわけですっと、そういうことで←
今は切なげに町を下っていくアシュラですが数日後には無事幸せになりました。(書いてないけど)

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