アカネイア&覚醒&if短編

□闇に落ちる
2ページ/4ページ


***

暗夜王国を見極めてほしいと突然戦場に駆り出され、さも昔からの仲間であるかのように戦わされ苛々し(今救った人数分、あとで殺してやる、とひそかに思ったほどだ)ヒノカさんとかいう赤髪の人にも、また会えた、良かったと泣きつかれて、なんか散々だった。

私を暗夜から取り返すために頑張ってきた? 私は彼女のことを知らないのに、彼女はずっと私のことを考えていたのだと思うと、寒気すらした。

 やめて。

私を姉さまと呼ばないで。
私の国が恐ろしい怪物を仕向けたってそんなの関係ないわ。
暗夜の犠牲を少なくするために違いないもの、当然の策だと思った。

「カムイが受けた苦しみ…必ず報いを受けさせてやる」
「……」

苦しみなんてなかった。
たしかに外には出られなくても、兄弟たちがともにいた。なのに。
このまま白夜で暮らすことになったらどうしよう、お先真っ暗だ。
あまりに不安すぎて、なにも言えなかった。
それに私からすれば理不尽とも思える白夜の人々の言葉に苛々したけど、ぐっと抑えた。
ねぇほめてカミラ姉さん、私今すごく我慢してる…ううっ。

白夜に戻ると、ミコトさんが部屋を与えてくれた。
そこには幼い私が書いた絵が置かれていた。私がさらわれた後も、そのままにしていたんだとか。
何が書いてあるのかよく分からないその絵は、いろいろな色で円を描いている。
私はその円の中に吸い込まれてしまいそうな気分になって顔をそむけた。

「大きくなりましたね、カムイ」

嫌だ。
知らない女性にそんなことを言われるのは、自分が知ったかぶられているみたいで気分が良くない。
この人は温厚そうだし、私の実の母ならば少しくらい文句を言ったっていい気がした。

「あの、私は何も覚えていないのです。」
「え…?」
「だから、そのように言われても、何もお答えできません。
私にとってあなたは、今日出会ったばかりの外国の人ですから」
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ